2018年01月07日

悲しみは星影と共に(DVD)

悲しみは星影と共に [DVD] -
悲しみは星影と共に [DVD] -  1966公開 イタリア映画

これも名盤発掘としてレンタル店でピックアップされていた。戦争ものだというのと、物悲しい主題歌はラジオを聴き始めた70年代から知っている。そして昔テレビで見たことがあった気もするので改めて見てみた。

見る前にビデオのパッケージを見ると、第二次大戦中のユーゴスラビアが舞台で、母は亡くなりユダヤ人の父親は収容所に入れられ、若い娘レンカは盲目の幼い弟と二人暮らし。ドイツに侵攻され、恋人のイヴァンはパルチザンで森に立てこもっている、という設定。

村にはユダヤ人の店が何件かあったが、順次収容所に送られ店はからっぽになっていく。そんな中父が収容所から脱出して家に戻ってくるが、皮肉にも姉弟は収容所行きが言い渡され、二人列車に乗る。列車の中で姉のレンカは弟に、この列車で目が見えるための手術を受けに、街へ行くのよ、と言う。しかし賢い弟は状況が分かっていたかもしれない。

1966年公開だが、白黒映画。主人公レンカの細見の体が物悲しく、盲目だがとても賢い弟のミーシャがまた悲しみをさそう。街にあるものが、普通の暮らしがひとつひとつ無くなっていく。静かに戦争の悲劇を描いている。

見終わってネットで検索してみると、なんと原作はエディス・ブリュックの自伝的小説「街へ行く」で、監督はネロ・リージ。そしてネロ・リージはエディス・ブリュックと結婚していた。・・ということは列車に乗った娘レンカは生き延びたのか。

またレンカ役はジェラルディン・チャップリンでかのチャップリンの娘だということ。そういわれると目とか口とかが似ている。

悲しみは星影と共に(映画「悲しみは星影と共に」から) -
悲しみは星影と共に(映画「悲しみは星影と共に」から) -  MP3

悲しみは星影と共に(キネマ旬報DBキネノート)



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2017年12月25日

カスパー・ハウザーの謎(DVD)

カスパー・ハウザーの謎 HDリマスター [DVD] -
カスパー・ハウザーの謎 HDリマスター [DVD] -  1977公開 西ドイツ 

レンタル店で名盤発掘として旧作がピックアップされていた。
野生児の例として聞いたことはあった。映画になっていたんだと思い見てみた。アマラとカマラのような狼に育てられた子が社会復帰する過程を描いたものだろうとは思ったが、単に食べ方を教えたり、読み書きを覚えたり、宗教を教えたりといった描写の中に、物の考え方への批判が込められていて、どうやって物の考え方が形作られるか、また時代の進展具合によってどういう影響を受けるかなど、そこが面白かった。

地下牢に繫がれ食事は与えられて白馬のおもちゃで遊んでいる。ある日男がやってきてカスパー・ハウザーという綴りを教え、ドイツのニュルンベルグの小さな村の広場に置き去りにする。1828年5月ということで近代以前の村だが、司法とか教会とか王国とかにしばられ人間生活は行われている。そこでけっこう親切な村人がカスパーに文字や作法を教える。カスパーは素直でいろいろ知りたい欲求も高まる。

宗教家や数学者が、キリスト教を信じろ、論理的なものの考え方、といったものに導こうとするが、カスパーは独自の考えを持っている。当時の19世紀前半の考え方より、いきなり少年で世の中に出たカスパーの考え方の方がよほど現代的なのだ。監督の創作の部分もあるだろうが、カスパーという野生児を使って監督はそういう考え方の形成といったものを投げかけたのではないかと思った。映画ではカスパーがとても魅力的だった。

カスパー・ハウザー (福武文庫) -
カスパー・ハウザー (福武文庫) -  フォイエルバッハ著
著者のフォイエルバッハはカスパーが発見された時の司法長官で彼の保護者となった人物。

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2017年12月17日

エルELLE(映画)

78歳のバーホーベン監督と、64歳のイザベル・ユペールが主演。この年齢に脱帽。

バーホーベン監督と言えば「氷の微笑」。 「氷の微笑」と言えば、下着をつけないまま取り調べの警官の前で足を組みかえる場面が一番印象にあるが、この同じテイストをこの「ELLE]にも感じた。う~んバーホーベン監督の女性観はこうなのか。78歳にしてこういう画面を撮るとは、原作本があるとはいえ、これから向かう年齢はやはり年取ってみないと実感できないなあ。

主人公はゲーム会社の女社長。関係する男性は、離婚した夫、同僚の夫、そして向かいの隣人。イザベル・ユペールほ実年齢は64歳だが関係の仕方から言って設定はせいぜい55歳あたりだろうなあ・・・

ELLEとはフランス語で彼女という意味だそうで、すたすたと1人で歩く後ろ姿の彼女、といった映像に合ってる。
12.14劇場で

ELLE映画HP

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV) -
エル ELLE (ハヤカワ文庫NV) -  原作フィリップ・ジャン。あのベティ・ブルー 愛と激情の日々-  の原作者でもあるということだ。

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2017年12月11日

日の名残り(DVD)

日の名残り コレクターズ・エディション [DVD] -
日の名残り コレクターズ・エディション [DVD] -  1993イギリス映画

カズオイシグロになにかとても興味が湧いている。10日のノーベル賞授賞式の模様を見たり、いろいろネットで言葉を検索したりしているうち、これは公開当時映画館で見ているが、もう一度見てみたくなった。

今でも覚えているのはアンソニー・ホプキンス演じる執事とエマ・トンプソン演じる女中頭の、想っているんだけどすれ違ってしまう行動と、お屋敷で宴が催される時の、執事によって統制の取れたテーブルセッティング、そして執事は冷静、という場面だ。イギリスの貴族の館での統制の取れた静かできっちりした仕事ぶりの執事の物語、という認識だった。

それが、今回イシグロ氏が小説を書く時の気持ちとかを語っているのを見ると、
「88年3月、33歳の私は、初めて日本が舞台ではない「日の名残り」を書き終えたところでした。晩年になってから、自分が誤った価値観を守ってきたと気付く英国の執事の物語です。」(授賞記念講演)
  ええ! 誤った価値観を守ってきた執事? そう、昔見たときは20年以上前とはいえ、ナチスに傾倒したご主人、というのがまるきり印象に残らなかったのだ。

週刊文春2001年11月8日号での阿川佐和子のインタビューでは、

阿川 じゃあ、純粋なアーティスティックな表現って何なんでしょう。

イシグロ 遠大な質問で答えるのが大変なんですけれども、私は自分の世界観や感動を純粋に伝えることだと思います。それを読者に感じ取ってほしいし、同じ世界観や感動を共有してほしい。

阿川 イシグロさんの作品には、家族にも言えない秘密、陰の部分を持っていて葛藤している男の人が出てきますね。

イシグロ そうですね。私が一番関心があるのは、人が自分の過去の暗い部分、陰の部分にどう直面して、いかに隠そうとして、最終的にはどのように受け入れて、心の平静を持つようになるかという過程なんです。

と言っていた。そうか、そうだったのか。でも「日の名残り」お屋敷の映像がとても美しい。冒頭のグリーンの芝生にハンティング会での馬と犬と赤いベストが目に鮮やかだ。2回目に見たビデオはイギリスに行ってきたので、この風景とお屋敷が、うんうん、こういう色だ、とそちらの方にも目がいった。「ゴスフォード・パーク」の使用人の世界と貴族の世界の皮肉に満ちた対比に比べ、この「日の名残り」は、来客の執事を見下した質問はあるにせよ、ご主人と使用人世界はどこか上品だ。




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2017年12月10日

ゴスフォード・パーク(DVD)

ゴスフォード・パーク [DVD] -
ゴスフォード・パーク [DVD] -  2001年イギリス映画

1932年、イギリスの御屋敷で催される狩りに招かれた貴族とその従者たちの、階上の人々と階下の人々の人間模様を描く。

物語は、若いメイドの視点で語られるが、集まった召使たちは、合理的なんだろうが、ご主人の名前で呼ばれる。主催者の主人は生まれた子供は孤児院に送っていた。その子が招かれた貴族の使用人としてやってきて父である主催者をナイフで刺す。だが血がながれていない。とすると他に誰かが先に刺しているいることになるが、それには深い訳があった・・・

若いメイドが老メイドに「これからどうするんですか?}と聞くと「完璧な使用人に個人の時間は無いのです」と言う。だから罪を犯して牢屋に入っても、このお屋敷でご主人様のために働いても同じなの、というニュアンスに受け取った。一体に働くってどういうこと? 会社で働くと、自分の働きの分は会社の業績となって、やりがいみたいな感情が湧くが、このお屋敷の使用人の働きの業績は、ご主人の衣装が整っている、食事が用意されている、庭が整っている、っていうお屋敷の中で、ご主人の個人的な物で閉じられ、階級という天井があるので、自分でやれよって感じで惨めな感情が湧くのか? 家事代行とはそこが違う?

「ダウントン・アビー」に老貴族役のマギー・スミスがこちらでも老貴族役出ていた。
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2017年12月09日

夜想曲集(カズオイシグロ)

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫) -
夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫) -  2011.2.15

副題のとおり、音楽と夕暮れがモチーフとなる5つの短編集。ぼく、として語られる主人公は音楽家だったり、音楽好きだったり。そして主人公に関係するカップルが登場するがどれも関係が危うくなっている。話の進行には音楽が介在し、物語は進む。5つの短編それぞれが一つの曲が流れるように、一つの曲を聴き終わるように、そんな読後感だ。

「老歌手」はベネチアでバンドを掛け持ちするギター弾きが、ある老歌手が妻のためにホテルの窓下の水路で歌う伴奏をする。なぜそういうシチュエーションが起きたのかがミソ。

「降っても晴れても」は、雲行きが怪しくなった、ロンドンに住む大学時代のクラスメイト夫婦の家に訪問した47歳の主人公の話。その妻と主人公とは音楽の好みで共通点があったが・・・

「モールバンヒルズ」は、ひと夏、姉夫婦の営むイギリスのモールバンヒルのカフェで働くギターで身を立てようとする若い男性が、客として訪れた音楽家夫婦に自分の作った曲を聴いてもらうと・・。

「夜想曲」。これはなにかとんでもなく突飛な設定。売れないサックス吹きが、「整形をしたら売れるんじゃない?」というマネージャーの言に従い手術をしたが、その術後の部屋の隣に有名な女性スターがいて・・

「チェリスト」。これもなんとも不思議な話。イタリアのアドリア海に面した町で、若いチェリストがやってきて町のバンドに在籍するが、天才チェリストと名乗る女性と出会い、自身の演奏を指導してもらうが、女性は決して自分では演奏して見せない。実は・・

カズオイシグロ氏のネット上のメモ
ノーベル文学賞イシグロさん記念講演 原点は想像の日本 毎日新聞12/8

カズオイシグロさん受賞式を前に会見 朝日デジタル12/7

カズオ・イシグロの素顔 東洋経済2017.10.6

親族が語る一雄君のこと 週刊現代2017.10.24

綾瀬はるか、カズオイシグロに会いに行く 文芸春秋2016.2月号 (わたしを離さないでドラマ化に際し)

カズオイシグロインタビュー The Paris Review(アメリカの季刊誌)2008.春 をバルカローレさんが訳したもの 

日本への想い、村上春樹のこと 文学界2006年8月号 聞き手・大野和基 ※大野氏のインタビュー集書籍「知の最先端」 (PHP新書) -  にも所収。

カズオイシグロに阿川佐和子が聞いた 文春オンライン 週刊文春2001.11.8号

カズオ・イシグロ 文学白熱教室 [DVD] -
カズオ・イシグロ 文学白熱教室 [DVD] -  2015.7.15放送の文学白熱教室がDVD化 2018.2.9発売予定

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2017年12月08日

オリエント急行殺人事件(映画)

オリエント急行内で1人の乗客が殺され、体には12の刺し傷。犯人は1等車の乗客の中にいる、また原作は1932年のリンドバーグの息子の誘拐殺人事件に着想を得て発表された、という情報のみで見た。

最初にイスタンブールの町や駅の民族衣装に彩られた人ごみ、そして雪のアルプス?を孤独に進む列車が上空から写される。これはもうすごい映像的な迫力。そしてクセのある乗客。中でも殺される富豪役のジョニー・ディップは顔に傷のあとも作りいかにもワルモノといった風貌。ポワロはTVで見ていた小太りのデビット・スーシェがン馴染みがあり、この映画のケネス・ブラナーはかっこよすぎではないかと見る前に映画のチラシを見て思ったが、映画が始まるとすんなりケネス・ブラナーのポワロにはまった。かっこいいポワロも有りだ。

誘拐事件と乗客との関係がだんだん明らかになって、雪の鉄橋での立ち往生の場面で謎が解き明かされるが、この鉄橋の場面も映像の迫力があった。謎ときが話される2分くらい前に、犯人はこうか?と思ったら、果たしてそうだった。

オリエンント急行の車体と、雪の中を進む列車と、クセのある乗客を演じる俳優を大画面で見る楽しさを味わった。
12.8劇場で

 →オリエント急行殺人事件 映画HP

1974年にも制作されていて、それにはイングリット・バーグマンが出て助演女優賞も得ている、というのでそちらもレンタルして見てみた。犯人を知ってから見ることになるが、こうなるとちょっとした顔の表情とか、伏線とかが分かり、犯人は誰か?というどきどき感とは別な愉しみを味わえた。
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] -
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] -  イングリット・バーグマンは最初、老伯爵夫人役を打診されたそうだが、家庭教師役をやりたい、とそちらを演じて助演女優賞を得た。家庭教師はすごく地味な風貌の設定で、あまり登場場面も多くない。こちらで際立ったのは夫を2度とりかえている婦人役のローレン・バコールだ。バコールの方が派手な役だったので、こちらのほうがすごく印象に残った。

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) -
オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) -  原作は1934年発表。


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