2017年09月24日

鉄道の旅ノート~塗りつぶし記録帖2017~2018

鉄道の旅ノート 乗りつぶし記録帖 2017~2018 (ブルーガイド・グラフィック) -
鉄道の旅ノート 乗りつぶし記録帖 2017~2018 (ブルーガイド・グラフィック) -
これからチョイ乗り鉄をしてみたいな、と思ってるのでこれを買いました。書店には小型版もありましたがこちらの26cmのを買いました。乗った所の色付けは1mmの幅がありラインマーカーで塗りやすいです。緑の一色印刷ですが、平地は淡色、山は濃いめでグラデーションがあり地形が大雑把に分かる所がいいです。最近の廃線は中央に点線があります。

東京や大阪京都などは拡大図が載ってますが、基本の縮尺の地図とのつながりが土地勘の無い地域ではわかりずらい。なので↓
全日本鉄道旅行地図帳2016年版 (小学館GREEN Mook マップ・マガジン 8) -
全日本鉄道旅行地図帳2016年版 (小学館GREEN Mook マップ・マガジン 8) -  こちらを併用して楽しんでいます。

これは塗りつぶしではなく、現役の鉄道網、バス路線が出ています。地図部分はやはり緑の濃淡で平地と山が大まかに分かります。鉄道は新幹線、特急のある部分は特急ごとに色が並列して印刷され、地図上で路線の名称と区間と総キロ、又特急の名称と会社名、区間、時間が四角の枠で示されてるので、一覧表を見ながら地図を見る、といったことをせずに地図上でいろいろな情報が分かるのが優れてます。

JRは黒、私鉄は紫、バスは茶の色分けも見やすいです。北海道は地図が別になっていて、鉄道、バス、航空、船舶の路線図が出ていて、北海道初心者の私はこの図でようやく北海道の交通網がおぼろげに分かりかけたところです。宗谷岬へはどういうルートで行こうか、あるいはやはりツアーかなあ、などと地図を見ながら想像をふくらませてます。

バス路線に関してはちょっと知っている部分が途中止まりになっていたので、完璧でない部分もあるのかもしれません。

全日本鉄道旅行地図帳2017年版 -  も出ている。こちらは九州が大きい地図になっているようだ。

日本鉄道旅行地図帳増結乗りつぶしノート -
日本鉄道旅行地図帳増結乗りつぶしノート -  2009.5新潮旅ムック
H21年版のこの本が家にあって、これを塗りつぶしていたがさすがに古くすでに廃線になっているのもあるので、実業之日本社の最新版を買った。この新潮社のは全線全駅全廃線と銘打っているだけあって廃線もすべて載っている。

日本鉄道旅行地図帳 1号 北海道―全線・全駅・全廃線 (1) (新潮「旅」ムック) -
日本鉄道旅行地図帳 1号 北海道―全線・全駅・全廃線 (1) (新潮「旅」ムック) -  2008.5新潮旅ムック
このムックは地区ごとに12巻まである。分冊だけあって未成線一覧まで載っている。

 


ラベル:鉄道の旅
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2017年05月30日

小林カツ代伝(中原一歩著)

私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝 -
私が死んでもレシピは残る 小林カツ代伝 -  2017.1

副題の通り、「ステーキ丼」や簡単ホワイトソースの作り方など、私の中で今もレシピが生きている小林カツ代さん。亡くなって早3年半近く。カツ代氏が笑顔でこちらを向く表紙を見て、ああ、伝記が書かれたのかと感慨深かったが、著者は男性。はて日常的に家庭料理を作ってなさそうな人が書いたカツ代氏の伝記で果たしてカツ代氏の業績が伝わるのかな?と思ったが、カツ代さんとは亡くなるまで15年あまり親交があり、ほぼ毎日のようにメールのやりとりがあり、それが決まって午前零時過ぎで、くも膜下出血で倒れる前日のメールは「焼きそばに生卵をつけて食べるとこれ絶品」だったそうだ。

料理の鉄人出演時の舞台裏が冒頭にあり、「主婦」と紹介される台本をめぐって、それを削った時のカツ代氏のホットな言動が紹介される。一体にカツ代氏は瞬間湯沸かし器と言われ、腑に落ちない場合は耳を真っ赤にして徹底抗戦したというが、相手の言い分もきちんときいており、納得すれば落とし所を見つけケロリと仲直りしたという。「主婦の延長線上の小林ではなく、料理研究家・小林」であるというのが氏の矜持であった。ここで主婦論争を出すとややこしくなるが、TV番組での料理紹介、料理本の出版と、その裏には並々ならぬ研究と探索と思考があり、そしてなにより”思想”があったとこの本を読んで思った。

この鉄人の章のあとに、「小林カツ代の家庭料理とは何か」の章があり、”家庭料理の場合、作り手も食べ手である”のがレストランのプロとの違い、また小林氏の家庭料理の三つの約束事、「おいしくて、早くて、安い」「特別な材料は使わない」「食卓にはユーモアがないといけない」が紹介されている。

この二つの章のあとに、大阪で商家の三女としての生い立ち、疎開、結婚生活、そして料理研究家として世に出るいきさつ、そして料理研究家としての活躍の数々が書かれている。

結婚して初めて作った味噌汁のあまりのまずさに大阪の母親に電話で作り方を教わった話、大阪のTVのお昼のワイドショーに「芸能人の話題ばかりでなく楽しく料理を作るコーナーでも作ったらどうか」という葉書を出し、それならあなたが作って下さい、というディレクターに応え「庶民のシューマイ」と名づけたものを作った話、夫の東京への転勤に伴いデザイン学校に通うが学校が閉鎖してしまいその顛末を書いた「ミセス漫画学校へ行く」を出版しそれがNHKの銀河ドラマ「てんてこまい」に樫山文江主演でドラマ化された話、などの初期のエピソード。

続いて料理家としての自宅キッチンでの撮影やTV出演、また二人の子供たち、また夫との関係なども取材に基づき書かれている。ミスターと呼ばれる夫は、大阪での最初のTV出演はもちろん、カツ代氏の活動には常に後押しをしていたという。が最後には離婚に至ってしまった。そこら辺の二人の真意はわからないが著者は出版直前にミスターと会うことができ「カツ代ほど変化した女性はいなかった。次は何をしでかしてくれるのか、不安がなかったら嘘になりますが、その彼女の挑戦を応援することは私の喜びでもありました。」と言っている。

読み終えると昭和から平成を全速力で駆け抜けたバイタリティあふれる1個の人間の生きざまが伝わってきた。

関連本「小林カツ代と栗原はるみ」 拙ブログ2016.7.9
「小林カツ代さん」
 拙ブログ2014.1.28



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2016年07月09日

京都ぎらい(井上章一)

京都ぎらい (朝日新書) -
京都ぎらい (朝日新書) -  2015.9

先日、足利尊氏の歴史番組に著者が出ていて、アナウンサーから「京都出身の井上さんです」と紹介されたら、「ちょ、ちょっと待って、京都と言っても嵯峨なんで」と言っていた。子どもの頃、著者の父や祖父は、京都の中心部に行くことを「京都に行ってくるわ」と言っていた、というのが載っていた。なるほど、そういうことか。

逆に言うと、著者の言うホントの京都・御所とかのある中心部で育った者たちから発せられる、周辺部は京都じゃない、という言外の雰囲気を著者は感じている。

実はこの感じはよく分かるし実感する。京都ではないが、自分の住んでる市であるが、我が家は市の中心部からは10km近く離れ500mも行かないうちに隣の市になり、いわゆる昭和の大合併でその中心部の町に合併した村なのだ。で、中心部に行く時は「京都に行ってくる」と同じ言い方をするのである。ただ、著者とちがうのは、中心部に対し、何の劣等感もいだいていない点。田舎でいいじゃ~ん。
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2015年12月29日

小説土佐堀川 広岡浅子の生涯(古川智映子)

文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 (潮文庫) -
文庫版 小説 土佐堀川 広岡浅子の生涯 (潮文庫) -

ドラマがおもしろく主人公に興味を持ち読んでみました。
まあ、なんとも精力的な女性がいたものです。著者は高群逸枝の「日本女性人名簿」に載っていたわずか14行の業績に強く惹かれ小説化を試みたということだ。初出版は1988.10の潮出版社。なんと出版後間もなく毎日放送でラジオドラマ化され、さらに舞台化もされその時の主演は八千草薫、伊藤四郎。伊藤氏が夫だとするとかの玉木宏とはずいぶん違うが、写真をみるとイケメン度は伊藤四郎並みか。だいぶドラマの影響が強いのだが、小説でも夫は妻に従った夫として描かれている。が、この理解ある夫がいたからこその浅子か、と思うところもある。

広岡浅子 明治日本を切り開いた女性実業家 (星海社新書) -
広岡浅子 明治日本を切り開いた女性実業家 (星海社新書) -  2015.9 小前亮著
小説ではなく新書版の伝記です。冒頭は死亡時の新聞記事「一代の女丈夫なる廣岡浅子女史逝く 三井家の産せる偉大の女性 日本女子大学校創立の栄誉」「廣岡浅子刀自逝く 加島屋の家台を支へた女傑傳中の第一人者」「廣岡浅子刀自宿痾重って東京に逝く 男勝りの女性 女子教育に貢献」

当時はかなり有名だったのに、現在ほとんど忘れさられていたのはなぜか? 著者は三井家からの嫁入り、石炭業、加島銀行、夫新五郎が初代社長についた尼崎紡績、日本女子大学創立、大同生命誕生など関係資料を豊富に使い、生き生きと廣岡浅子の生涯と業績を再現させています。尼崎紡績は後のユニチカで「サインはV」のバレーボールチームが思い出されなんだか身近に感じます。

浅子の生涯をみると成瀬仁蔵との出会い、その著書「女子教育」との出会いが後半生にはかなり大きな比重をしめるのではと思えてきます。日本女子大の創立者というと成瀬仁蔵ということになっていますが、これを読むと廣岡浅子の資金集めの協力なしには創立できなかったのではと感じます。若き日に読書を禁じられた浅子が、経済力のついてきた時期に成瀬に引き合わされ「女子教育」を読んだ事は絶妙のタイミングであったと言えます。この後成瀬の影響もあるのかキリスト教に改宗してしまうのです。

広岡浅子 語録 -
広岡浅子 語録 ~女性の地位向上に尽くした「九転十起」の女傑-  2015.9 菊地秀一著 宝島社
こちらは浅子が残した文言を目次の項にもってきて、豊富な写真と文章で生涯を綴っています。

時空旅人 別冊 「広岡浅子が生きた時代」 (SAN-EI MOOK 時空旅人別冊) -
時空旅人 別冊 「広岡浅子が生きた時代」 (SAN-EI MOOK 男の隠れ家 時空旅人別冊) -  2015.11

こちらは雑誌別冊体。両替商、結婚と女性の生涯、炭鉱業の隆盛、女子高等教育の夜明け、生命保険の誕生などの社会情勢と、三井高利、広岡新五郎~最も浅子の行動を理解した夫、五代友厚、大隈重信、成瀬仁蔵、市川房江、などの人物紹介で浅子の周辺の理解を深めています。浅子は晩年御殿場で国内の有望な女性20名ほどを集め夏期講習会を行い、その中に市川房江もいたということです。TVでみたことのある市川房江が浅子の教えを受けていた、ということで歴史上の紙面上の人から身近な存在に感じだします。

夫の項目では三井家お付きの小藤との間の子との写真もあり、こちらは朝ドラではどう描かれるのでしょう?



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2015年05月09日

図説英国貴族の暮らし(田中亮三著)

図説 英国貴族の暮らし 新装版 (ふくろうの本) -
図説 英国貴族の暮らし 新装版 (ふくろうの本) -

ホームズ、ミス・マープル、そしてダウントン・アビーにはまって、イギリスの貴族なるものに興味が湧き、手ごろな本がないかなと、この本を買ってみました。「暮らし」との題名にあるとおり、故ダイアナ妃の実家スペンサー家を含む代表的な貴族の御屋敷6館の紹介、使用人の暮らしぶりが豊富な写真とともに紹介されています。

「英国には16世紀後半のエリザベス朝から、この国の繁栄が頂点に達した19世紀半ばにかけて、主として貴族でもある大地主たちが、権力を誇示するために広大な領地のなかに建てたカントリー・ハウスと呼ばれる豪壮な邸宅が何百とあり、今も多くは子孫が住みずつけている」p6

3章の「英国貴族とは」で貴族とは何ぞや?が書かれてあり、
制度上は、公候伯子男・爵、の爵位を持つ原則男子が貴族で、広大な農地を持ち、したがって貴族の職業はファーマー(農場主)。1958年の統計によれば、王室公爵5、公爵26、侯爵36、伯爵192、子爵126、男爵481、女性伯爵5、女性男爵13。英国の職業の最上位はファーマーで、英国最大のファーマーは英国王室。ふだんは特別な扱いを受けているがノブリス・オブリージ(高貴なる者の責務)という不文律があり、戦争や災害などの時は率先して解決にあたる伝統がある。学校は男子はパブリック・スクール、女子は20世紀初頭までは家庭で学習しダンスや作法を習っていた。

現在は貧富の差は縮小しているが、王室を頂点として、少数の貴族を含む上流階級とEducatedと呼ばれる高等教育を受けた知的職業の人たち、その他大勢の一般勤労者(ワーキング・クラス)が存在。違いは言葉づかいにも現れ、上流対下流では、トイレ(loo対toilet)鏡(looking-glass対mirror)ジャム(jam対preserve)などとあります。貴族は原則長男に世襲され(なんと次男は俗にspare予備と呼ばれる)、次男三男が家を出て学者や実業家などになりそれが18,9世紀のイギリスの繁栄に貢献したとする見方もあるとしています。

クリスティの父は遺産を受け継いだアメリカ人事業家で投資の利息で暮らしていたようでマープルは祖母がモデルとも言われています。となるとマープルは貴族ではなさそうですが、相続財産があったという設定なのでしょうか?

女性のファッションなどにはほとんど触れられていないので、この本などに出ているかも。
図説 英国貴族の令嬢 (ふくろうの本) -
図説 英国貴族の令嬢 (ふくろうの本) -


使用人の筆頭といえば「執事」 ダウントン・アビーでは使用人間の諸々も描かれていますが、執事といって思い浮かぶのは「日の名残り」。ダウントン・アビーも今放映中のは第一次大戦が終わった時期ですが、日の名残りも1956年の時点で、お屋敷に仕えた1920年代から30年代にかけてを回想するというもの。作者のカズオ・イシグロは長崎生まれのイギリス育ちですが、この描写はどう取材したのでしょうか。
日の名残り コレクターズ・エディション [DVD] -
日の名残り コレクターズ・エディション [DVD] -
アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソン、静かに格調高く、しかし緊張感をもって物語は進みます。
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2014年11月30日

ウイスキーとダンディズム(竹鶴孝太郎著)

ウイスキーとダンディズム 祖父・竹鶴政孝の美意識と暮らし方 (oneテーマ21) -
ウイスキーとダンディズム 祖父・竹鶴政孝の美意識と暮らし方 (oneテーマ21) -

副題にあるようにマッサンこと竹鶴政孝の孫・孝太郎氏の書いた本。同居の孫からみた祖父母である政孝、リタ、家族、工場回りの話で、これがめっぽうおもしろい。最初はなんだ便乗本かと思ったが、なんといっても同居していた人の書いた本である、生の姿が語られる。また孝太郎氏は生まれた環境を「所与のもの」と表現していて、著者は昭和28年生まれなので、リタは8歳の時に64歳で亡くなっているのだが、同級生のおばあちゃんと「違っている」とか「違ってない」とかではなく、もう自分にとって祖母が青い目なのは「あたりまえの普通のこと」なのだとある。

リタについては、漬物をつけたり、いかに日本人に同化したかと美談風に語られるが、「文化や美意識まで日本人のそれと入れ替えたわけではなく」、わが家といえども自分の部屋から出たら、神の目を意識しきちんとした格好をする、などという生まれ育った流儀を政孝は尊重し、その一方で政孝はリタに遠慮することもなく自分の慣れ親しんだ和の精神と文化を尊んでいたので、「わが家ではふたつの文化が溶け合うことも、反発しあうこともなく」自然な形で共存していたと書いている。政孝は和食を好み、そのためリタは梅干しや沢庵を漬けていたのだが、出張でいない時にはここぞとばかり食卓にはローストビーフなどが並んだという。ただ、父母は大人になってこういう生活になったので葛藤があったと思うが、自分は生まれた時からそうなので、何の不思議も葛藤もなく和の政孝流と洋のリタ流のふたつの流儀が仲良く共存している、と書いている。

森瑤子の小説の世界では、養女のリマにどうして母の目が青いの?として、母に買ってもらった青い目の人形の目を黒く塗る、という場面が出てくる。本当の子供だったら?とか小説の中だから、というのもあるが、やっと孫の代になって、リタは受け入れられたという気がする。

孝太郎氏の覚えている、祖母リタから母に伝わったスープや件のクリスマスプディングなどのリタの料理のレシピや、また祖父政孝の毎晩の水割りは孝太郎氏の妹が作っていたとか、まさに暮らしがしのばれる。そして、リタが亡くなった朝「おばあちゃんが死んじゃった、おばあちゃんが死んじゃった」とリビングまで聞こえた声が今も耳に残っているという。そして祖父の亡くなる病室では「文化の違う人間同士が一緒になるのは大変なことだ。わしは、おばあちゃんには苦労をさせてしまった。だからお前は国際結婚はするなよ」であったという。

著者は15歳まで余市で過ごし、そこでの生活はかなり野性味あふれるものだ。項目に「七光りの葛藤」があるが、著者が就職する昭和50年頃にはすでにニッカは銘柄会社である。結局ニッカに就職し約20年勤め3代目は3代目でいろいろ葛藤はあったようであるが、外国人の祖母を所与のものとして受け入れたのと同じく、基本的にとても素直な性格の人という印象を持ち好感を持った。
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2014年11月28日

望郷(森瑤子)

望郷 (角川文庫) -
望郷 (角川文庫) -

竹鶴リタの物語、読み終わりました。森瑤子ワールドの中のリタはなんだか悲しいなあ。一生懸命生きて、愛する夫はきっと労わってくれた、でもそれ以上に日本に同化しようとすごく努力した、だけど完全にはなれなかった、それを「望郷」という題名で表したのではないか。

「望郷」ではリタの戦死した婚約者への感情の動きから描くことで、よりリタという人間の根っこのところへの理解が深まる。。子供を流産してしまい、自分の血の入った分身との生活が叶わなくなって、「初めてニッポン人にならなければならないと悟った」と描いている。そしてリマという養女との行き違いの生活を森瑤子は想像たくましく描く。ここのところがこの物語を読んで悲しく感じるところなのだ。

夫の姓になって夫の家族と住み、自分の育った土地を離れたいわゆる「お嫁さん」になった日本人の妻の場合でも、いくつになっても実家をなつかしく思いだす、というのはあるだろう。でも子供を産むことで、夫の家の跡取りの「母」となることで、新しい”夫の側の”土地での地位が確定される、という構図がある。リタはそれが叶わなかった。そこのところじゃないかな。リマとの別れの後の、威氏とも孫ともいい関係だったようだが、森瑤子は威に、「僕は何人子供がいても養子には出すまいと思う」と語らせている。

ただ、威氏のニッカのHPでのエッセイを読むと、10代後半で納得の上での養子縁組でもあったので、何も違和感はなかったと書いている。おじの会社を継ぐためのもの、であって、「リタおふくろ」「政孝おやじ」と書いているように、実父母は別に厳然として存在し、ニッカという会社、いわば大名の家督相続、仕事と養子縁組は一体、というように見える。

ともかく、この森瑤子ワールドの中のリタはけなげにスコットランド人として日本人として、精一杯その生を終えた、といえます。
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2014年11月08日

リタの鐘が鳴る(早瀬利之)

リタの鐘が鳴る―竹鶴リタの生涯 -
リタの鐘が鳴る―竹鶴リタの生涯 -  1995

「ウイスキーと私」に次いでこちらも読んでいる。ウイスキーと私が自伝形式であるので、妻のリタは夫である政孝からの視点だが、こちらは評伝であるので両者均等に見ている。リタの心の動きがこちらの方が分かる。・・がしかし文はあまりうまくないんじゃないか? 会話部分がどうしてもウソっぽい。。「アンのゆりかご」と同じく、小説としては読み心地が悪く、伝記としては資料が無さ過ぎで物足りない。 伝記ものの難しさか。伝記として書くなら歴史書のように会話部分など入れずにあくまでも資料に基づいて書いた方が好み。子供の頃読んだ伝記物はあれは「伝記物語」か、まだそちらの方が現実味がある。こうなると「小説」の力を感じずにはいられない。宮尾登美子の「序の舞」とか著者の視点で登場人物が生き生きと動いている。なんと森瑤子氏が「望郷 」 という題でリタのことを小説にしていると知り今読んでいるところだ。


リタの鐘がなる 竹鶴政孝を支えたスコットランド女性の生涯 (朝日文庫) -
リタの鐘がなる 竹鶴政孝を支えたスコットランド女性の生涯 (朝日文庫) - 2014.9
読んだのは図書館にあった単行本ですが文庫本も出ています。
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マッサンとリタ(オリーヴ・チェックランド)

マッサンとリタ―ジャパニーズ・ウイスキーの誕生 -
マッサンとリタ―ジャパニーズ・ウイスキーの誕生 -  2014.8NHK出版

リタについての外国人の書いた伝記ということで読んでみました。なんといってもこの本の一番の評価点は、書いてある一文一文がどの参考文献に基づいているかきちんと載っていることでしょう。政孝は日経の私の履歴書による自伝「ウイスキーと私」のほか、雑誌やインタビューなどがあり、またスコットランドでの「エルギン日記」やウイスキー製法のノートなども見てこの本は書かれています。政孝やリタにまつわる文献を知るだけでもこの本を見る価値はあります。

政孝の自伝では分からなかったことも、こちらでは詳しく分かります。また、スコットランドの地図が載ってるのもいいです。それに政孝の自伝で、ホームシックで毎夜涙にぬれていたのにリタの家族と過ごすようになって、ホームシックがうそのように治ってしまったとあり、ここをリタの家族と行ったり来たりして、と読んでいたのですが、この本を読むとリタの家の下宿人となっていたとあり、そうだったのかと思いました。それで政孝がリタと会ったのはリタの父が亡くなってからである、と自伝にお孫さんが事実と違う点についてとして一文をのせていたのですが、その意味がわかりました。
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2014年10月27日

ウイスキーと私(竹鶴政孝著)

ウイスキーと私 -
ウイスキーと私 -  2014.8.30

10月からの朝ドラがおもしろく読んでみた。テレビは最初回想シーンが交互に入り少しみずらかったが、やはり泉ピン子の木魚ぽくぽく場面でこりゃおもしろいとなった。大阪の酒店の娘の意地悪場面も定番? なにか内助の功的描き方が強調されすぎてる気もするが、そこはテレビ、この竹鶴氏の自伝はテレビ以上におもしろい。いろいろ関連本が出てるがこれは昭和47年2月にニッカウヰスキーが発行した私家版の改定復刻版。日本経済新聞の「私の履歴書」を私家版として出したものなので、きっちり31回分、各回小見出し付き。実際の連載日は47年2月より少し前のことだろう。連載月日は記載が無いのでこの本ではよくわからない。(昭和43年5月のようです)

この本で竹鶴氏は自分は幸運に恵まれていた、と言っているが確かにイギリスへの渡航中、並走して航海していた船が沈没して1名を除き全員が死亡してしまったり、またイギリスでの留学中とか、日本に戻ってのウイスキー作りにかかわってからとか、いろいろ困難はあるがいい方に舵が向いて行くようである。しかし自伝をよむとそれはやはり努力の賜物あってのことだというのが分かる。

今の大阪大学の醸造科を出ているのだが、アメリカ経由で、サンフランシスコからニューヨークまで横断して、アメリカではアメリカ訛りの英語に悩まされたが、イギリスへ行っては「私の英語はよく通じ、相手の言葉のわかるのがなによりうれしかった」とある。アメリカで昼間ワイン工場を見学し夜は英会話を習ったとあるが、当時の大学出はやはり違うのか、と感心する。おまけにリタを伴って日本に来る際もアメリカ経由なのだが、リタのイギリス英語がアメリカで通じず、竹鶴氏が通訳した、などという話も載っている。

作り酒屋なのに洋酒を学びにイギリスへ、はたまたイギリス人の妻を伴って帰国、とそのたびに最初反対されるが最後には後押ししてくれたのは「母」だったとある。そこらへんドラマとは反対なのだが、履歴書では「顧みると、ウイスキーで苦しみ、ウイスキーで喜んだ人生であった」と締めくくられている。

思えば、自分の大学時代、昭和50年代前半、飲み会といえばビールか水割りだった。コーク杯なんかもあった。しかしサントリーのダルマの方が飲まれてたかなあ。しかしヒゲの顔は確かに記憶にある。
というわけで、ニッカウイスキーを飲んでみたくなり、
ブラックニッカ これを近所のセブンイレブンから買ってきた。ニッカではこれだけが置いてあった。小鬢で289円。しかしこの形、昔やはり大学のころ鈍行で帰る帰省の東北本線で向いに座ってしまったあやしげなおじさんが懐から取り出して飲んでた形、またはジャニス・ジョップリンの写真で写ってた形と、飲んだくれのイメージがある。とはいえ私はウイスキーはストレートが好き。今夜は飲んだくれました。

てなわけで、ウイスキーにちょっと興味がわき、
ウィスキーの基本 -
ウィスキーの基本 -  552円也を買ってしまいました。まずはニッカの銘柄全部を飲んでみたい。

MrBooPapaさんのblog「読書録」に「私の履歴書 経済人11」(日本経済新聞社編)が載っておりそこに連載月日が記されていました。

黄昏ウイスキーBARinブログ 大阪マスターさんだけあり大阪の地の利がよく分かります。摂津酒造や当初二人が住んだ場所やニッカのポットスチル製造の鉄工所など興味深い記事です。


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2013年06月02日

「水」が教えてくれる東京の微地形散歩(内田宗治)

「水」が教えてくれる東京の微地形散歩 [単行本(ソフトカバー)] / 内田 宗治 (著); 実業之日本社 (刊) 2013.4

本屋で雑誌コーナーにあって目についた。「微地形」という文字と表紙の凹凸ある地図に反応。というのも少し前、ぶらり途中下車という番組で微地形図を作っている会社を紹介していたからだ。番組内では微地形模型で水面が上昇したら最後に残る所は?というのをやって、その模型では(山手線の外周1km位)最後に残ったのは都庁~旧淀橋浄水場跡だった。考えて見れば水道の起点だから当然なのだが、新鮮だった。

で、この本だが、東京の川を中心に見た低地と台地を中心に説明している。神田川周辺が東京では一番大きな高低差があり、山形有朋が見晴らしの良い高台と高低差のある地形を利用して作った御屋敷が現在の椿山荘の所であると。確かに椿山荘内は山あり谷ありの日本庭園である。目白駅からバスで行くとゆるやかな下りだが、これが地下鉄有楽町線の江戸川橋から行ったら、もういつ終わるのかというけっこう急な上り坂が続き息切れ状態である。・・と馴染みのある所の箇所はとてもおもしろい。

東京の地図で愛用してるのはでっか字まっぷ東京23区 [新書] / 昭文社出版編集部 (著)...で、たまに東京に行く時はこれを片手に行く。これはいわばロードマップだから東京は平地だと錯覚してしまう。だがどうして坂だらけである。

微地形で検索してみるとけっこうな数が出てきた。

その中でも、東京に関するもので目を引いたのがこれ。
凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩 [単行本(ソフトカバー)] / 皆川 典久 (著); 洋泉社 (刊) 東京「スリバチ」地形散歩 2012.1 

デジタル鳥瞰 江戸の崖 東京の崖 (The New Fifties) [単行本(ソフトカバー)] / 芳賀 ひらく (著); 講談社 (刊) デジタル鳥瞰 江戸の崖 東京の崖 2012.8

春の小川はなぜ消えたか 渋谷川にみる都市河川の歴史 (フィールド・スタディ文庫6) [単行本(ソフトカバー)] / 田原 光泰 (著); 芳賀 啓 (編集); 之潮 (刊) 春の小川はなぜ消えたか 渋谷川にみる都市河川の歴史 2011.5

東京凸凹地形案内 5mメッシュ・デジタル標高地形図で歩く (太陽の地図帖) [ムック] / 今尾 恵介 (著); 平凡社 (刊) 東京凸凹地形案内 5mメッシュ・デジタル標高地形図で歩く 2012.10

地形を楽しむ東京「暗渠」散歩|本田創|洋泉社|送料無料 地形を楽しむ東京「暗渠」散歩 2012.11

南洋堂書店微地形模型の記事 神田の書店で微地形模型を作っている
微地形模型展 を毎週土曜日やっている
はろるどさんのHP 微地形模型展の様子が紹介されています
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2012年01月23日

45分でわかる!平清盛と28人の男と女の裏表。(金谷俊一郎)

45分でわかる! 平清盛と28人の男と女の裏表。 清盛は悪党か? 改革者か? (45分でわかる!) [単行本(ソフトカバー)] / 金谷 俊一郎 (著); マガジンハウス (刊)

平清盛周辺の人間関係とバックの政治情勢、歴史事象がわかりやすく書いてある。(ように見えます)今回の清盛、なんとテーマ音楽がタルカスとあって、気合を入れて、まずは音楽を見ています。しかし、この時代、平氏、源氏、天皇家、3者入り乱れて人間関係がややこしくてわかりずらい。今日で3回目ですが、ドラマを見つつ、番組HPで人物相関図を見てる。45分でわかると銘打ってありますが、123ページあります。まだ5ページ位しか読んでないのですが、なんとか頭に入れたいと思ってます。平清盛というと、大河では子供の頃みた、仲代達矢のを覚えてます。時子は中村玉緒だったと思います。今回、父親役の中井貴一、とてもよいですなあ。

テーマ音楽につていはmusic diaryを。

タルカス~クラシック meets ロック / 藤岡幸夫 (指揮); 東京フィルハーモニー交響楽団, 中野翔太(ピアノ) (演奏) (CD - 2010)
この1週間朝な夕な聴いてます。


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2011年09月19日

ギリシャづく?

古代ギリシャ展に行き、ギリシャの古代社会が気になりだした。ギリシャと言えば、あの高台の神殿遺跡がまず目に浮かび、そしてアテネとスパルタ、直接民主制、などの言葉が頭に脈絡もなく浮かぶ程度。そしておまけとしてエーゲ海が頭に浮かぶ。しかもエーゲ海というと、真珠とか、捧ぐ、とかが連想語として浮かんでしまい。。 地図をみると下部にクレタ島がけっこう大きく浮かび、しかしよく見るとそこは地中海で、エーゲ海って、その上の入り込んだ所がそうだったの? と地図も事項もまるきり知らないことに気づいた。ギリシャの歴史は高校2年の春以来、頭をめぐることは無かった。

で例によってアマゾンで検索すると、たぶん「古代ギリシア」で検索をしたのだと思うが、これはおもしろそう、という本が見つかった。
古代ギリシアの女たち―アテナイの現実と夢 (中公文庫) [文庫] / 桜井 万里子 (著); 中央公論新社 (刊) 
「古代ギリシアの女たち~アテナイの現実と夢」桜井万里子著 2010
特に興味を抱いたきっかけが、”オリンピアは競技者と観客は男性のみ”しかも素っ裸、そして女性は家に閉じこもり、男性余興としての少女の踊り子絵皿、なのだ。

本の題名のごとく、古代ギリシャの女性のことが書かれているらしい。著者の桜井氏をクリックすると桜井万里子さんの著作 がいくつか出てきた。その中でいまに生きる古代ギリシア (NHKシリーズ NHKカルチャーアワー・歴史再発見) [単行本] ... が出てきた。なんだか見覚えのある題名。NHKのカルチャーものはいくつか買っている。と思い本だなの奥を見ると、なんと、ありました。2007年7月に買ったもようです。しかしきっと何ページか読んでそのままにしてしまったのでしょう。これが歴史はもちろんオリンピック、演劇、映画、哲学ととてもおもしろそうな見出しが。そして映画では少し前に見た監督アンゲロプロス~旅芸人の記録とかエレニの旅とかにも言及されている。・・・ともあれ再度読んでみます。



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2011年05月08日

三陸海岸大津波(吉村昭)

三陸海岸大津波 (文春文庫) [文庫] / 吉村 昭 (著); 文藝春秋 (刊)

読みました。近くの本屋にひら積みになっていました。
明治29年、昭和8年、昭和35年と三陸を襲った津波の体験者からの聞き取りを記した。
三陸を訪れるうち、いつの頃からか津波が気になり出したという。
最初の発刊は昭和45年で、その年に当時87歳と85歳だった二人の明治29年の津波体験者から話を聞いている。

昭和8年の津波では、田老尋常高等小学校の生徒の作文集が収録されている。低学年の作文がつたない文章ながら生々しい。2年生の子の作文では、一緒に山に登らなかった父を「私は、私のお父さんも確かに死んだだろうと思うと涙が出てまいりました」と記している。ある子供は逃げようと一旦外に出たが、家族は中に入ってしまい、たまたま家の前を通った友達と逃げて助かっている。明けていつまでたっても父母が迎えにこないので、そこで初めて一人残ったのだと気づく・・ そしてこの一人残ったアイさんに吉村氏は会っている。アイさんは今も地震がくるとすぐ家族で山に逃げるのだ、と記している。

昭和35年の津波では、遠くチリの地震が原因だったので、上記2つの津波とは波の様子が違っているのが聞き取りでわかる。地震が無いのに津波が来ているわけだ。また資料として、昭和13年に気象観測所所員だった二宮という人が、災害年表を作っていて、江戸時代の古文書中に地震の記述が無いのに津波が来た、という事実を「津波と防災」という本に残していることも紹介されている。

また平成13年に三陸で吉村氏は津波についての講演をしたが、聴衆のほとんどが津波を体験していないことに気づき不思議な気分になったとも記している。
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2010年10月17日

岩崎弥太郎と三菱四代(河合敦著)


岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)

岩崎弥太郎と三菱四代 (幻冬舎新書)

  • 作者: 河合 敦
  • 出版社: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/01
  • メディア: 新書




大河ドラマ「竜馬伝」もいよいよ大詰め。今日はいろは丸の衝突で紀州藩と海援隊の談判の場面。「万国公法」なるもの、今日のドラマで初めて知ったが、う~ん、竜馬すごいね、というところである。そして先週あたりから岩崎弥太郎も袴に背広の上着を着て大活躍である。弥太郎は後藤象二郎に取り立てられたが、「図説・幕末志士199―決定版 (歴史群像シリーズ)」によると、後藤はもっと評価されていい人物なのだが、評価されないのは長生きしたせいか?などと書いてある。

後藤象二郎に取り立てられ、藩の土佐商会を取り仕切ったことが後の三菱の元になった。この新書ではそんな三菱の草創期から財閥解体までの様子が分かりやすく書いてある。先週のドラマの冒頭ですでに弥太郎は血を吐き、倒産したグラバーを雇っているが、弥太郎は明治18年に胃癌で50歳で亡くなる。がその後弟の弥之助、弥太郎の長男・久弥、弥之助の長男・小弥太と後継者に恵まれ(後継ぎ内紛が起きてない)戦前の財閥となってゆくのである。財閥の歴史などあまり考えたこともなかったのだが、ドラマのせいで知る機会を得た。

しかし弥太郎が財を成したのは、新政府との取引であり、やはり官公需による利益はすごいもんなんだ、という思いだ。市井の市民相手の小売では財閥には成りえなかった気がする。維新時、長崎の土佐商会が閉鎖され、代わって開港した大阪で大阪商会となり、さらに藩の商業活動が禁止されると土佐藩は「九十九商会」と名乗り(弥太郎の)私企業を装い、さらに廃藩置県で藩が無くなると「三川商会」と名乗り活動は継続し、そして明治6年「三菱商会」と改め弥太郎の完全な私商社が誕生するのである。明治7年の台湾出兵での兵と食糧の輸送を受け持ったことでさらに政府の保護を得るのである。ただ保護を受けたといっても、この本を読むといろいろ圧力はあったようで、財閥となるにはやはりこの4人の経営者の並々ならぬ才覚と努力があった、というのは読み取れた。


三菱グループのサイト 三菱の歴史、三菱人物伝などのページがある
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2010年06月19日

ジャガイモのきた道(山本紀夫著)

ジャガイモ関係の本を2冊。どちらも1年以上前に同じ時期に読んだもの。


ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争 (岩波新書)

  • 作者: 山本 紀夫
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 新書



学術調査のためアンデスに赴いた著者。アンデスといえばトウモロコシと言われる割に、村でトウモロコシを見かけず、高度が上がるごとにジャガイモ畑になるのをみて、アンデス高地ではジャガイモこそが人々の暮らしをささえたのでは? と考えるようになった。以来ジャガイモ研究40年の著者がおくるジャガイモの本。

学術的な記述なのに読みやすくおもしろい。それぞれの地域の生活が生き生きと伝わってくる。種としてのジャガイモの説明、アンデスの高度別の村のジャガイモとトウモロコシをめぐる生活の考察、同じ高地のヒマラヤの村でのジャガイモをめぐる考察。またヨーロッパでも今やジャガイモはポピュラーな食べ物だが、最初は悪魔の食物として捉えられていたとか、また日本の北国での「凍みイモ」という、保存技術とか、初めて知る興味深いことばかり。特に「凍みイモ」はジャガイモを冬の野天に干して長期保存にする食べ物。読む限りキリボシダイコンの輪切り版のような感じ。一度食べてみたいと思った。


ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)

  • 作者: 伊藤 章治
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/01
  • メディア: 新書



こちらは、ジャガイモにまつわる日本や世界のエピソード集といったところ。アンネの日記でのジャガイモの皮むきから、アイルランドの飢饉、日本のジャガイモ伝播など項目は20あまり。栃木県の足尾鉱毒の谷中村の人が北海道へ渡った事や、満州の千振入植者が引き上げ、那須の千振開拓などでのジャガイモにまつわる話も紹介されている。

ひとつひとつの項目はおもしろいのだが、著者が新聞記者のせいか、新聞記事の連載を読んでいるような感じだ。新聞に連載されたものかと思ったが書き下ろしのようだ。

おもしろさでいうと軍配は岩波新書の山本氏のほう。
ラベル:ジャガイモ
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2010年02月07日

極北シベリア(福田正巳著)


極北シベリア (岩波新書)

極北シベリア (岩波新書)

  • 作者: 福田 正己
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 新書




北海道大学低温科学研究所教授の著者がシベリアの永久凍土研究のために訪れた成果を分かりやすく新書にしたもの。訪れた時期は92年から95年あたりか。ツンドラタイガ永久凍土の説明から始まり、地中の凍り具合により地表の模様(シロウトにはそうみえます)がエドマ層とかピンゴとか様々な形になる。

またエニセイ川とかレナ川とか北極海に面する河をほとんど調査している。こういう現地調査をする学者は実行力がないとだめなんだなあというのが分かる。とくにロシアでは。堅い内容なのにロシアの学者との調査の様子が親しみやすく書かれています。


また各地でスターリン時代の強制収容所が残っていたり、また放射能汚染がある、ということも記されています。北極海沿岸の灯台などの電源が原子力電池が使われたり、ヤクーツク付近では地下核実験場があったり、またダムを作るのに岩盤爆破にプルトニウム型原子爆弾を使ったりしたというのだ。まずは調査に放射能検知器が必須だったという。

何故凍土の研究?だが、凍土を研究して変動を読み取れば古代の気候変動が分かる。あとは凍土の性質を利用して人工凍土を作りそれを地下鉄などの建設に使っていて、新幹線の上野地下駅(深いです確かに)や東京湾縦断トンネルでも使われたそうです。

読んでると道路は夏、氷がとけると土台が歪んでとても大変だ。ここに人工物を作ることが無理なんじゃあとも思えてくる。しかしなにか興味をそそられる自然環境ではあります。

北海道大学低温科学研究所

シベリア地図
シベリア

シベリア写真集 大阪大学大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻地球循環共生工学領域・町村尚准教授 のページ

JSPS最先端研究拠点研究 シベリアタイガ永久凍土の環境変動の研究報告がありました。2005-6の研究。このメンバーに著者の福田氏の名前もありました。 (ヤクーツクの写真カラマツ林



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2009年12月05日

こだわり人物伝・小津安二郎


こだわり人物伝 2009年12-2010年1月 (NHK知る楽/水)

こだわり人物伝 2009年12-2010年1月 (NHK知る楽/水)

  • 作者: 佐高 信
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2009/11
  • メディア: 単行本



1月から放送予定のテキストなのだが、落語家の立川志らくが自身の小津安二郎を語っている。”オズ”のエイガは・・ といった感じでなんだか”語られ”がちなオズだが、ちがうちがう、自身の好みを押し通したヘンな人なのだ・・という志らくのオズ論。

もともと洋画好きだったのが、大学生の時たまたま黒澤明を見て日本映画に目覚め、でなんだか日本映画ではオズヤスジロウがすごいらしい、というのが分かって見てみたが、嫁に行くとか行かないとか、ちっともおもしろくない。で10年位たってまた見たら、これがすごくおもしろい、というのが志らくのオズ道にはまったきっかけだそう。

これが自分がオズにはまった経過と似ているのだ。で、志らくは小津作品は落語や歌の楽しみ方と似ているのだという。落語は落語家の話しぶりを楽しみ、歌はメロディと歌詞を楽しむ、それは筋が分かっていても楽しくて、何回も同じのを聞く。ストーリーを楽しむ黒澤明などとは違う楽しみ方なのだという。

これはなるほど、言えてるなあ、と思う。

というわけで、またまた見てない作品を見たいと思い、3本カウンターに持っていったら、あと2本かりれば1000円に安くなるんです、と言われ5本も借りてきてしまった。

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2009年03月10日

ハプスブルグ家の12の物語(中野京子著)

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書)
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366) (光文社新書) 中野京子著 2008.8

マリー・アントワネット出自のハプスブルグ家の歴史を、その王様・王女様たちの肖像画を通して概観するユニークな切り口の書。おもしろくて一気に読んで、観てしまいました。

○○家の歴史、といった歴史書ではたまに挿絵があるくらいで、誰と誰が結婚したとか系図はあるもののどうもややこしくて頭に入ってきません。が、本書では13世紀から始まり、途中オーストリアとスペインに別れつつも20世紀初頭まで約650年の長きにわたるハプスブルグ家を12の代表的な絵画で時代順に説明します。その他ほとんどカラーで関連画が豊富にあります。

デューラー、エル・グレコ、ベラスケス、アンチボルド、マネ、知らずに観ていた名画が実はハプスブルグ家のものだったのでした。

・ハプスブルグ家二大美女は?
  ・
  ・
マリー・アントワネットとエリザベート皇后だそうです。


ヨーロッパの王朝は国を超えた結婚が多い(と思いましたが)、特にハプスブルグ家は血族結婚が多く、そのかぎ鼻と受け口が特徴だそうです。それを知って肖像画をみると、確かにそうだわー と画家は王様が気に入るように修正を施し美男に描いたようですが、きちんと?その特徴は描きこんでありました。


*スペイン・マルガリータ王女~密かに西洋の麗子像だ・・と思ってたのですが。。画像はこちらをクリック ベラスケス最高の傑作だそうです。題は「ラス・メニーナス」
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2008年01月13日

国マニア/吉田一郎著

国マニア―世界の珍国、奇妙な地域へ!
国マニア―世界の珍国、奇妙な地域へ!
 2005.12.1

前に「スバラしきマニアの世界」を買った時に、これもいかがと出ていたもの。こちらもおもしろそうなので買ってみました。

バチカン市国、モナコ公国はなじみ深いとして海に沈みそうな「ツバル」は最近TVでも温暖化などで放映されたりします。「モルディブ共和国」はリゾートの島と生活の島が分かれてる、とか旅行パンフでは分からない基本のことが。

1国につき4ページくらいで要所を書いてあります。順に読んでくと飽きてきたりするので、ヒマな時にぱらぱらと行き当たりばったりに読むと、ほー とおもしろいです。全52国。保護国・自治領の違いなどといったミニコラムもためになる(けどすぐ忘れたりして)


posted by simadasu.rose at 00:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 本・歴史地理伝記 | 更新情報をチェックする
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