2016年07月10日

雇用身分社会(森岡孝二)

雇用身分社会 (岩波新書) -
雇用身分社会 (岩波新書) -  2015.10

著者は関西大学経済学部で2014年まで教えていた。専門は企業社会学。雇用の状態〜正社員、パート、アルバイト、臨時、派遣などによって給料が違い、雇用が身分化して所得分布が階層化しているとする。

明治中ごろから紡績などに女工が集められたが、多くは募集人によって農村部から集められ工場に送り込まれた。この場合雇用関係は工場主と女工との契約の前に、工場主と募集人との契約関係であった。85年に労働者派遣法ができたことによりこの戦前と似た関係になった。くしくも85年は同時に均等法もできている。

雇用身分社会から抜け出す鍵として、1労働者派遣制度を抜本的に見直す〜著者はゆくゆくは制定以前の規制に戻したいが単純業務の職種を禁止とすべきとしている。2非正規労働者の比率を引き下げる。3雇用・労働の規制緩和と決別する。 4最低賃金を引き上げる。 5八時間労働制を確立する。 6性別賃金格差を解消する。を提案している。これができれば安倍さんは苦労しないが・・

またディーセントワークという言葉を紹介している。これがこの本の最大の収穫だ。decentとは見苦しくない、礼儀正しい、恥ずかしくない、裸でない、人並みの、人間らしい、親切な、寛大な、適切な という意味。著者は「まともな働き方」としている。また、江口英一の『現代の「低所得層」 ―「貧困」研究の方法』 (1979)を紹介し、その中でワーキングプアは「あるべきものがない状態」、人並みの状態が「剥奪deprivation」されており、一般に当然と認められている状態から遠ざけられているので、社会参加不可能の状態に置かれている、と紹介し、デプリベーションはディーセントでない状態、であるとしている。

お金がないのは社会問題だというのは誰でも分かるが、根本の問題は、不安定な雇用により、まともな権利(正当な賃金と社会保障)から遠ざけられ、「社会参加ができなくなっている」ことだというのが分かった。この考えを政治家、企業家に認識して欲しい。
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2016年07月09日

世襲格差社会(橘気俊詔・参鍋篤司)

世襲格差社会 - 機会は不平等なのか (中公新書) -
世襲格差社会 - 機会は不平等なのか (中公新書) -  中公新書 2016.5

「格差社会」「日本のお金持ち研究」などで日本の経済格差を論じてきた著者による、”職業の世襲”について現代の様相を論じた著。
農業、商店、政治家、歌舞伎役者、文楽、医師、弁護士、会計士、弁護士など職業別に世襲の現れ方と、世襲がされていく職業、世襲されにくい職業を考察し、社会経済からみたその功罪、機会の平等について考えた。

継がれなくなりつつある仕事として、農業と商業。親から子へ「継がせよう」とする仕事として医師を挙げる。また「継ぐか、継がないかを分かつもの」として職業威信を挙げている。職業威信とは一般的に人々が考える、個々の職業の社会的な地位の高さを示すものという。職業威信の一番高いものは「裁判官、検察官、弁護士」で次に「医師」だが、医師で世襲が多いのは、開業などする場合設備が既にある、患者を引き継げる、収入が高いなどあり世襲が行われる。一方弁護士などだと日弁連資料では6%だという。、これは司法試験が難しいのと収入が一部を除きさほど高くないからだという。

世襲の功罪では、まず農業や商店など継ぐべき基盤があれば無業者になるリスクが減るなどを挙げる。また時代に合わせ新機軸をうちたてやすいのは世襲者であるという。猿之助のスーパー歌舞伎のようなものは梨園出身であるからできることで、一方文楽は世襲ではなく、外部からの人が伝統を守るべく就業する集団であるので、そこで新しいことをやるのは難しいという。企業でも経営が危機に陥って、将来を見据えた改革を行うのに重役たちを説得できるのは、創業者の血をひく貴種で、そこに世襲のプラス面もあるとしている。ただし公的な議員とかの世襲は、新参者が議員になるのを狭めておりマイナス面の方が大きいとしている。

間に有名人の親子についてのコラムが5つあり、「親子二代の名選手はいるか?」で親を超えられなかったスポーツ親子、「息子が親を超えた」で親を超えたスポーツ選手、「学者の世界」などおもしろい例があり一息つける。
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2008年08月16日

学歴社会の法則(荒井一博)

学歴社会の法則 教育を経済学から見直す (光文社新書 330)
学歴社会の法則   教育を経済学から見直す (光文社新書 330)
2007.12

学歴はなぜ所得格差を生み出すのか? 学歴シグナルによる「差別」はほんとうか? などを「教育」を「経済」で考える。学歴というシグナルは、雇用や昇進で、面接ではよく分からないその人の能力を測る物差しになるので、大卒というシグナルがあればいい企業に就職でき昇進も早いというもの。当たっている企業もあるのでしょうが、そうでない所もあります。

また「教育費用」という言葉も初めて目にしたが・・言ってくれますね
楽々大学に進学し卒業できる人は低い精神的・時間的費用しかかからないので「教育費用が低い」 一方そうじゃない人は教育費用が高くなる。教育費用の高い人は苦労して大卒学齢を得て高賃金にありつくよりは、非大卒労働者として低賃金を甘受したほうが有利と考えて、大学には進学しない、というもの。

格差社会の世渡り 努力が報われる人、報われない人
格差社会の世渡り 努力が報われる人、報われない人 中野雅至著 2007.6

元労働省の官僚だった著者が、努力も大切だが自分を人に知らしめる「アピール力」が大切だと説く。「えびす顔の出すぎた杭」という言葉が冴える。
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高学歴ワーキングプア(水月昭道著)

高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書) 2007.10

今までのワーキングプア論はどちらかというと、経済力も無く学歴も無くということでの低所得、という現実を分析したものでしたが、これは「大学院」を出た「博士」が就職できない、という現状の本。

確かに博士をとれば大学の先生でしょ、というのが相場ですが、そもそも修士とか博士の定員枠が多くなり、昔よりずっと院卒が増えているそうです。しかしやはり博士になったからには研究者としてまっとうできる社会になってほしいものです。

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しのびよるネオ階級社会(林信吾)

しのびよるネオ階級社会―“イギリス化”する日本の格差 (平凡社新書)
しのびよるネオ階級社会―“イギリス化”する日本の格差 (平凡社新書) 2005.4

著者は1958生まれ。83年にイギリスに渡り、87年に「英国ニュースダイジェスト」の記者になり90年に「欧州ジャーナル」を創刊。

イギリスでの生活で継承される格差を目の当たりにした著者はかつての「学歴」一本で上層にもなれた日本はある意味平等であったのだなあと感じ始める。パブが労働者階級と中産階級向けに噂どおりきちんと二つに分けられている。公式には誰がどちらに入ろうとかまわないそうだが、分け隔てなく飲もうという発想がそもそも無く、そこにあるのは「them and us」という彼らは彼ら、我々は我々だという。

そして今日本でも階層が固定化されつつあるのではないか、と林氏は危惧する。・・自分の実感からするとそういう家庭もあるが、そうでない家庭もある、といったところだが・・

階層が固定化されると、下層の方は希望が持てない生活状態になる、というのだ。イギリスでは階層が固定化されており、いくら働いても労働者階級は経済的にも報われなく、その結果仕事もいい加減になっているというのだ。


ネオ階級社会を待望する人々 (ベスト新書 137)
ネオ階級社会を待望する人々 (ベスト新書 137) 2007.3

同じ著者による別な出版社からの本



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労働ダンピング(中野麻美著)

労働ダンピング―雇用の多様化の果てに (岩波新書)
労働ダンピング―雇用の多様化の果てに (岩波新書) 2006.10

著者は弁護士でNPO「派遣労働ネットワーク」の代表を務める。75年生。

弁護士だけあって、法制度の面から現在の労働問題を分析している。1986年の男女雇用機会均等法と労働者派遣法の制定でまず女性の派遣労働が加速され、さらに95年の日経連の「新時代の”日本的経営”」という考えが派遣を男性を含む若年層にまで拡大されたとする。

貧困化は雇用から生み出され、雇用における格差は性役割と所得のジェンダー格差によるところが大であるとする。こういう貧困化をさらに深刻化するのが競争政策・規制緩和であるとする。

官庁にしろ会社にしろ外部に任せらせると判断したら外注するが、外注したからには内部でやるより価格は低くなければ意味がない。そこで外注された会社はどこで価格を下げるか、となると人件費である。
官庁から外注された仕事、または公共入札が低価格の労働ダンピングを引き起こしていると説く。

いずれにしても「商品ではない人間」のための新しい労働システムを構築する働きが必要としている。・・・それがいまだみつからず、ですか。

ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書)
ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (宝島社新書) 門倉貴史著 2006.11

門倉氏はこの本でワーキングプアの定義として東京23区の生活保護水準=2004年度で年間194万6040円支出を基準にして、働いてるのに年間収入が200万以下の人を便宜的にワーキングプアとしている。 

実際にそれとみなされる人たちへのインタビューを多数交えながら、門倉氏もまた上の「労働ダンピング」と同じくワーキングプアの原因として小泉政権の「構造改革」による自由主義経済と民営化の影響をあげている。

生活保護VSワーキングプア  若者に広がる貧困(PHP新書 504)
生活保護VSワーキングプア (PHP新書 504) 大山典宏 2008.1

市役所で実際に生活保護を担当していた著者の書。

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ルポ貧困大国アメリカ(堤未果)

気がついたら格差とか下層とかの本がたくさんたまっていた。いつ頃からこの手のを読み始めたのかと見ると2005年9月に読んだ三浦展氏の「下流社会」あたりからのようだ。しかし本の内容は著者が調査・ルポ、あるいは短期体験したもの。ナマの生活者ではないのだ。確かに根本解決のためには学者が調査分析して解決の糸口を導く必要があるのだが。最近はもういいやという感じ。まとめてupします。

ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)
ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112) 2008.1

「教育」「いのち」「暮らし」という国民に責任を負うべき政府の業務が「民営化」されたことで起こるさらなる貧困の実態のルポ。

「貧困層に肥満が多い」〜貧しい家庭には食料配給切符が配られ、その切符で買える食料が高カロリーのファストフードだという。移民アパートには調理器具そのものが無い場合もある。ルイジアナ州などは半数がフードスタンプ受給者。

「民営化された災害対策と学校」なんとあのハリケーンの被害を蒙ったニューオーリンズでは災害対策機関が民営化され敏速な対応ができなかったという。民営化先は第一に営利を考えるので国民の安全維持とは合致しいという。又学校も「チャータースクール」という名の民営化策がとられた。資金は国から出るが一定の成果がないと閉校になるという。

「ワーキングプアが支える戦争」クレジットで窮地に陥っている若者や大学入学資金のない若者などをターゲットに軍隊への誘いをするなどアメリカの知られざる姿が書かれている。


アメリカ下層教育現場 (光文社新書)
アメリカ下層教育現場 (光文社新書) 林壮一著 2008.1

こちらは上の「ルポ貧困大国アメリカ」で触れられていた「チャータースクール」で実際に教壇に立った著者のルポ。
アメリカでスポーツライターをしていた林氏はアメリカでの大学の恩師の紹介でネヴァダ州のリノという人口38万の街で1学期だけ教職に立った。チャーター・スクールは92年にミネソタ州で創立されたのが初めだという。当初は荒れる公立学校を救う手立てとされたようだが、現在は一般の公立校での落ちこぼれが集まっているような場になってしまっているという。

そこに来るのは「崩壊家庭」や移民の子たち、授業の様子はまるで日本TVの「ごくせん」のようである。

前に読んだ「超・格差社会アメリカの真実」とともにアメリカの光と影を見せ付けられる書。



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2007年02月10日

超・格差社会アメリカの真実(小林由美 著)

超・格差社会アメリカの真実
超・格差社会アメリカの真実
 2006.9

著者は在米26年の経営戦略コンサルタント。日本長期信用銀行に女性初のエコノミストとして入社後渡米。この本を書くのにまず英語で考え頭で日本語に翻訳し直したとか。そのせいかどうか、数字があるからかどうか文は読みずらい。目次は非常におもしろそうなんですが。。

第1章 超・階層社会アメリカの現実―「特権階級」「プロフェッショナル階級」「貧困層」「落ちこぼれ」

第2章 アメリカの富の偏在はなぜ起きたのか―ウォール街を代理人とする特権階級が政権をコントロールする国

第3章 レーガン、クリントン、ブッシュ・ジュニア政権下の富の移動
第4章 アメリカン・ドリームと金権体質の歴史―自由の国アメリカはいかにして階級社会国家となったのか?

第5章 アメリカの教育が抱える問題―なぜアメリカの基礎教育は先進国で最低水準となったのか?

第6章 アメリカの政策目標作成のメカニズムとグローバリゼーションの関係―シンクタンクのエリートたちがつくり、政治家たちが国民に説明するカラクリについて

第7章 それでもなぜアメリカ社会は「心地よい」のか?―クリエイティビティが次々と事業化されてくる秘密

第8章 アメリカ社会の本質とその行方―アメリカ型の資本主義市場経済が広がると、世界はどうなるのか?

親は自動車会社に定年まで無事勤めあげたが80年代にコンピュータ関係の会社に技術者として勤めた子が首切りに会い、親の生活レベルに達していない友人の紹介や、

開拓時代からの実学志向と人生の成功は経済的なものというアメリカの考え方のもとで、富裕層は私学に頼ってしまい、移民などをまずスタートラインに立たせなければならない任務を負う公の教育のレベルの格差がある現実とか、

「やはり自分も含めて移民にもチャンスはあるようだ」という実感を著者も感じるというアメリカ社会の心地よさ。。あたりは少しわかったのですが、途中で続読ならず。読者評ではみな褒めてますが、う〜ん我が頭のレベルの低さのせいか。。
 
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2007年02月09日

ニュー・リッチの世界(臼井 宥文著)

ニュー・リッチの世界 The New Rich World
ニュー・リッチの世界 The New Rich World
 2006.11

〜「年収5000万円以上、金融資産1億円以上」の人々 日本の新・富裕層

書店に平積みになっていておもわず手に取ってしまった。
著者は副題のようにお金持ちに絞ったマーケティングを生業としている。薄利多売よりは一発どかんと儲ける金儲けのしかた、お金持ち層の生態をほんの少し明かしてくれた本。

マイ飛行機を買いたい、街中の銀行に高級車で乗り付けたい、ホテルで高級なもてなしを受けたい、そういう要望に日本では応えていない、というお金持ちの要望をキャッチして商売を始めた著者。お金持ちの嗜好はやがて下層にも浸透し、それがいままでの文化を形作ってきたと。

この本は「光文社ペーパーバックス」だがよく調べてみると、この本を出す前に
日本の富裕層―お金持ちを「お得意さま」にする方法
日本の富裕層―お金持ちを「お得意さま」にする方法
 という本を2月に宝島社から単行本で出しているではないの。臼井氏、本では薄利多売を狙っているな!

臼井氏は「富裕層マーケティング」という分野を開拓したそうだ。
「格差社会」を書いた橘木先生は今までお金持ちに関する本が日本ではあまり研究されていないと言って「日本のお金持ち研究」を物したが、橘木氏のが医者など旧世代の金持ち分析だとすると、このIT長者などの新富裕層に関する本はここ最近けっこう出てきているようだ。

新・富裕層マネー―1500兆円市場争奪戦
新・富裕層マネー―1500兆円市場争奪戦
 2006.6 日本経済新聞社 編

新世代富裕層の「研究」―ネオ・リッチ攻略への戦略
新世代富裕層の「研究」―ネオ・リッチ攻略への戦略
 2006.10 東洋経済新報社 刊

小さな会社の富裕層マーケティング
小さな会社の富裕層マーケティング
 2006.5 

 





タグ:富裕層
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2007年01月10日

日本のお金持ち研究・橘木俊昭著

日本のお金持ち研究
日本のお金持ち研究

 2005.3

「格差社会」の橘木先生のお金持ち研究の書。アメリカでは大富豪に関する研究がたくさんあるのに日本ではそれが無いとか。2001年度版「全国高額納税者名簿」で2年続けて納税額3000万円以上の人、6000人にアンケートをとってまとめたのがこの本。おもしろいです。なんたって日頃触れ合う機会の無い方のことがほんの少しわかります。

なにしろ納税額3千万円以上の人が6千人というのも初めて知ることです。アンケート回収率は当初の5%未満を越えて8%の500通であり成功だとのこと。なにしろこの研究をすると言ったところ友人が「金持ちは忙しい」「金持ちは秘密主義である」「金持ちはあくどいことをしている」という理由のもとにアンケートになど答えるはずがない、と助言をしてくれたそうです。

これでわかったことは金持ちの職業は大きく「(中小)企業の起業者」「医者」の2種類。医者は15%で全国まんべんなくいる。起業家は約3割。東京では「分類不能」の職業の方が57%。やはり東京ではチャンスがいろいろあるということでしょうか。しかも医者は「美容整形」「眼科」が多い。
企業にしろ医者にしろ大企業のやとわれ社長とか大学病院勤務では金持ちになれない。起業社長の趣味は仕事。特に年配になると経営をゆずり全国にある配下の会社を見て回るのが趣味。

分析もしてます。「階層クラスター構造」というので所得、教育、職業威信の3つについての関係です。社会学ではすべて高い人を「上層一貫」すべて低い人を「下層一貫」相関度の低い層を「非一貫」と呼んでいる。なるほどー 「一貫」かあ。

紹介されてる分析では1955年から85年までは「下層一貫」が45%から10%とぐんぐん減っています。「非一貫」が48%から70%と増えて、これは貧乏人が減って、チャンスさえあれば金持ちになれたことを表してます。ただ「上層一貫」が65年で8%と最低になるがそれ以後ずっと増えて95年では22%になっていて、しかも95年は「下層一貫」も85年より5%も増えて、「非一貫」が85年より9%減っています。これは90年代に階層分化が進んだ、いま言われている格差社会が出現したことを表しています。

親子で同じ職業か、については経営者、医者とも半数は親と同じ職業で、親が金持ちなら。。ともいえますが、半分はそうではないのでゼロからのスタートも希望が無いわけではないようです。
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2007年01月09日

新平等社会・山田昌弘著

新平等社会―「希望格差」を超えて
新平等社会―「希望格差」を超えて
 2006.9

「希望格差社会」くで若者の間で労働意欲においても上昇志向のある層とあきらめる層が出来ていると説いた著者の続編。前作はおもに個人の分化について論じたものだったが、これは社会全体に対する山田氏の論説。

近年盛んな格差社会はこれによると「社会の進化」によって生じるものだという。戦後から高度成長期、70年代くらいまでは重厚長大産業・モノ作りが中心の社会(工業社会)でそこでは重役になろうと旋盤一筋であろうと正社員で仕事人生を終えられた。ところが社会が進化するとニューエコノミーと呼ばれるポスト工業社会へ移行する。ここではグローバル化、経済の規制緩和や政府の役割縮小が起きる。すなわち多くの人が便利な生活を送れる「豊かな社会」、高度な情報処理のできる「IT社会」、国境を越えてモノと人が移動する「グローバル社会」だという。

こうなると人の好みは多様化しサービス産業が伸びる。(ふんふんここらへんはロングテール、ニッチと通じますね)するとそこではサービスを創造できる仕事に就いてる人が「上」のクラスでそうでない人は「下」になる。単純労働の部分は海外に工場を持っていったり非正規雇用になってしまう。これが現在の状況だという。正職員の一般事務職でお茶汲みをしていられたのは幸せであったと言わねばならないのだ。

かといってこういう自由な経済の状況を規制したり格差を無くすと社会は停滞するという。(これが社会主義か) しかもデータの打ち込み、レジとかの大量の単純労働があってこその社会なのだ。解決策としては「機会の平等」をあげる先人もいるが山田氏はこれに加えて「希望の平等」をあげている。
中退してもリストラされても「努力したつもりだけど・・だめだー、と希望を無くさずにいられる社会、努力が報われる社会」にするべきだと。(おっと、安倍さんの言う人生やり直し、二毛作の人生か)

9章の教育格差では、昔は中学、高校、大学と学校を卒業すれば学歴に見合った「それなり」の職業に就けた。が今はそのルートに乗れる人と乗り損ねる人に分かれている。その乗り損ねた人の受け皿になっているのがフリーターだと述べている。教育と職業という継ぎ目で起きているのが現在の教育問題だと。

しめとして「生活の構造改革」を述べている。現在社会は生活の安定と向上が望める人と、働いても(努力しても)低賃金の人とに分裂しいて、(こつこつ働くという)努力が報われない不平等が出現している。この努力が報われる社会にするには市場に任せていてはダメで経済改革が政府の関与で行われたように、生活の構造改革も政府の関与でなされるべきだとしている。

生活の構造改革・・よく分からないです。生活=経済生活では? とにかくP137にありますが、企業にとっても非正規社員を増やすことで短期的に利益は上がるかもしれないが、単純労働の質が下がれば(これが希望を失った状態でしょう)結局は長期的に利益が下がる、と述べている、ここの解決策は? これが問題なのでは。政府が民間委託して身軽になっても引き受けた企業は結局アルバイトで対処してるし。。 いやアルバイトであっても無職よりはまし。しかしずっと賃金が上がらないと。。 


タグ:格差
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2006年12月18日

格差社会・橘木俊詔

格差社会―何が問題なのか
格差社会―何が問題なのか
 2006.9/20

景気が回復したといいつつもいまいち実感がつかめない現実。一方マスコミでは所得の格差が広がっていると盛んに言っている。企業が経営を持ち直したのは大量のアルバイトを雇い低賃金労働者に切り替えたからではないか?と思っていたが、この本を読むとその現実がデータをもって示されている。

低所得、非正規雇用で暮らすとはどういうことなのか? 例えば社会保険に入れない、生活保護の平均支給額・月14万より低い収入だという矛盾、など豊富な統計から筆者の見解をのべ、さらに打開策を述べている。語り口がとても誠実で好感が持てる。専門に勉強したことのない人にはいろいろな角度から労働実態が述べられていて、見えない側面を気付かせてくれる書。

同じ著者で日本のお金持ち研究
日本のお金持ち研究

日本の貧困研究
日本の貧困研究
があるのでそちらも読んでみたい。






 
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2006年11月13日

ニッケル・アンド・ダイムド

ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実
ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実
 2006.8 バーバラ・エーレンライク 著

新聞の書評でおもしろそうと思ったのだが、うーん、ジャーナリストが体験してみましたといった域か。食堂のウェイトレス、ウォルマートの店員、掃除婦として短期間働いた状況が書かれている。同僚の状況、アパートを借りる敷金がそもそもたまらたいので公園にキャンピングカーを止めて暮らしている、といった現実とかはなるほどと思うし、食堂の同僚がチェコからの移民の少年だとかそういう現実はわかるのだが。。 訳文がよみずらいせい?

同じようなのにかなり古いが鎌田慧の
自動車絶望工場―ある季節工の手記
自動車絶望工場―ある季節工の手記
 がある。
これは1972年にトヨタの自動車工場の現場をルポしたもの。これもニッケル・アンド・ダイムドと同じように鎌田氏が工場労働の実情を発表する目的で潜入し工場体験したものだが、こちらは文章がいいせいか、確か半年位働いたせいか、読んだのが昔だったせいか、かなり真に迫ってくるものがあった。同僚と同じ目線を文章から感じたせいか。

ニッケル・アンド・ダイムドでは、「どんな労働でも”単純”ではなかった」としめくくっているが、やっぱり「私はちがう階層だわ」というのを感じる。そりゃそうなんだけど。ニッケルはアメリカの5セント硬貨、ダイムは10セント硬貨のことで「とるに足らない」という形容詞と「少しずつの出費で苦しむ」「少しの金額」という意味で「貧困にあえぐ」という意味だそう。 

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2006年09月24日

今日、ホームレスになった・増田明利

今日、ホームレスになった―13のサラリーマン転落人生
今日、ホームレスになった―13のサラリーマン転落人生
 2006.7

なんともやるせなくなる。30代、40代、50代と13人の人たちのルポを読むと本当にある日突然ホームレスになっている。多くはリストラに遭い会社を辞めている。退職金はもらっているが家のローンの返済にあてて無くなっている人が大半。そして40代50代の人はその会社ではけっこう部長とか昇進していて給料もたくさん(私からみるとたくさんだ)もらっていた。

一旦ふくらんだ家計をもとに戻すのはけっこう大変だ。妻がもっといたわってたら家をでてないんじゃないかと思える気もした。同年代の友人はある日夫が仕事でちょっと壁に突き当たりやめてしまった。妻も同じ職場ではたらいてたが「もう30年以上勤めたからごくろうさん」といって夫は現在ヒモ状態。妻に経済能力があるかどうかも鍵か。

やはり仕事があるのはありがたいことだというのがわかった。やめたい病にかかってるのだがこの本を読むと「会社はしがみつくべし」という気がする。でも57才でリストラに遭いホームレスになった人が出てたけど昔は定年は55だったのに。。

タグ:労働問題
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2005年09月21日

希望格差社会(山田昌弘)

三浦展の「下流社会」と同じようなことを扱った本に
希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く
 2004 山田昌弘著 
がある。こちらは大学・高校卒業次点で希望の職種に就けない者が出現している点に注目し、その敗北感から将来に希望すら持てない若者を出現させていると分析している。読んではこちらの方がより説得力がある。三浦氏の「下流社会」はフワっとした感覚をさらっと述べたという感じ。
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下流社会・三浦展著

下流社会 新たな階層集団の出現
下流社会 新たな階層集団の出現 三浦展著 光文社新書 2005.9

本屋でヒラ積みになっていた。あの「ファスト風土化する日本」の三浦氏の本だ、と思い買ってしまった。

下層社会じゃなく、下流社会である。下層社会というと食うや食わずの経済的に貧しい生活をする社会階層をさすが、ここで言う下流とは「心持」が下流、シモテという意味で使っている。最初にあなたは下流か?とする12の質問があって、半分以上当てはまったら「下流的」だそうだ。みごと下流的になってしまった。。

1.年収が年齢の10倍未満
2.その日その日を気楽に生きたい
3.自分らしく生きるのがよい
4.好きなことだけして生きたい
5.面倒くさがり、だらしない、出不精
6.1人でいるのがすき
7.地味で目立たない性格
8.ファッションは自分流
9.食べることが面倒くさいと思うことがある
10.お菓子やファストフードをよく食べる
11.一日中家出テレビゲームやインターネットをして過ごすことがよくある
12.未婚である(男33以上、女30以上のかた)

この本では著者のアンケートで昭和ヒトケタ世代と団塊、新人類(1960前半生)、団塊ジュニアを調べて三浦氏が考察している。そこで導き出されたのが「下流」の出現だ。今の若者の中には「ここらへんでいいか」と思う傾向がありそれを「下流意識」だとしている。下流だと思う者は「自分らしく生きたい」と思う傾向が強い。下流意識のものは正規雇用でないものが多く所得も低い。低い生活状況でも「自分らしい生き方だ」とある程度満足している。もちろん全部がそうではないIT長者のように常に上をめざす者もいる。別な見方をすると正規雇用されるかされないかで所得が上下に分かれ、生活意識も上流下流にわかれてしまう。どこで別れるかというと本人の意識もさることながら親の階層で決まる傾向があるというのだ。親が豊かなら子供も教育水準が高く、経済状態もよくなり階層意識も上になるというのだ。


三浦氏は最後に「働く上流」と「踊る下流」として、下流意識のものが一応の定職についてささやかな幸せを享受できればいいが、山田氏の指摘するような希望も持てない本当の下層になったら困るとしている。

70年代あたりまでの若者は、親が貧しくても大学を出たりあるいは高卒でも会社で出世の道はあり、親の経済状況より総じて上に行くことができた。というより戦後20年間くらいは日本全体が下から上へみんなしてのし上がっていった時代で、おおむねその波にのれたのではないか。
ところが今20代30代の人はそういって親より上に行った者の子供である。はじめからある程度の生活をしている。親の階層をそのまま引き継ぐ者もいるかもしれないが、逆転現象も起きてる気もする。学歴、経済状態で親を超えられない者が少し出現してる気がする。


posted by simadasu.rose at 20:53| Comment(2) | TrackBack(3) | 本・上流下流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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