2017年06月18日

函館物語(辻仁成)

函館物語 (集英社文庫) -
函館物語 (集英社文庫) -  1996.1

4月に函館に旅行した。北海道新幹線で1泊だったが、五稜郭、函館山、青函連絡船の摩周丸、坂の教会群と、とても濃い2日間だった。2日め摩周丸見学の時この「函館物語」が置いてあった。摩周丸の後、教会群を見学していると坂の途中で「函館西高校」の看板?に出くわし長い坂を上がった上に校舎が見えた。その時これは辻仁成の出身校か?と思い帰って検索してみると果たしてそうで、さらに北島三郎も卒業生だった。

坂の教会群と昔の造りの残る木の家が坂にかかっている感じが神戸と似てるなと思い、かれこれ40年近くも前に行ったその青春時代の感慨も呼び起こされ、あのあたり一帯の雰囲気がとても気に入ってしまった。それで函館に興味が湧き、さっそくこの「函館物語」を読んだというわけだ。

この本の著者後書きは1996年6月で、著者が1週間滞在した様子がかかれてあり「私だけが持っているハコダテという異界へと皆さんを連れ出すために本書は書かれた」とある。

氏は中学3年から高校3年までを過ごしているが生まれ年から計算すると昭和49年から52年までである。今回の滞在で4人の函館人と対談している。漁業から「おがっと」(陸に上がり)になり密魚監視員となった方、青函連絡船に終了1月前まで勤務していた方、老舗バー経営者、啄木研究家だ。

文中これまで函館を舞台の小説は「クラウディ」「母なる凪と父なる時化」「バッサジオ」「ニュートンの林檎」と書いてきてこれからも書くだろう、という一文があった。「海峡の光」が無いな、と思ったら海狭の光は1996年12月に発表され芥川賞を取ったのであった。

遅ればせながら「海峡の光」も続けて読んでみた。青函連絡船を降りて函館刑務所に勤める主人公が、かつての優等生であった同級生を受刑者として迎える話である。小学生時の二人と、船を降りて函館に生きる主人公の葛藤が、人口が減って往時の賑わいが無いという函館の街を下敷きにして、なんともいえない余韻の残る小説だった。

で、「海峡の光」は、この1週間の滞在での4人との対談に触発されて書かれたのでは?と思った。あるいは「海峡の光」のための取材旅行だったのかもしれない。

また、読みながら地図があったらよかったのに、と思ったのだが、これも氏は最初入れようと思ったが、読者に自ら足を運び確かめて函館を感じて欲しいということでやめたとあった。

しかし・・ 1995年刊のエッセイ「そこに僕はいた」には「ぼくの記憶の函館」として、氏直筆の手書きの地図があります。


ラベル:北海道
posted by simadasu.rose at 17:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・エッセイ、小説 | 更新情報をチェックする
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