2016年07月09日

世襲格差社会(橘気俊詔・参鍋篤司)

世襲格差社会 - 機会は不平等なのか (中公新書) -
世襲格差社会 - 機会は不平等なのか (中公新書) -  中公新書 2016.5

「格差社会」「日本のお金持ち研究」などで日本の経済格差を論じてきた著者による、”職業の世襲”について現代の様相を論じた著。
農業、商店、政治家、歌舞伎役者、文楽、医師、弁護士、会計士、弁護士など職業別に世襲の現れ方と、世襲がされていく職業、世襲されにくい職業を考察し、社会経済からみたその功罪、機会の平等について考えた。

継がれなくなりつつある仕事として、農業と商業。親から子へ「継がせよう」とする仕事として医師を挙げる。また「継ぐか、継がないかを分かつもの」として職業威信を挙げている。職業威信とは一般的に人々が考える、個々の職業の社会的な地位の高さを示すものという。職業威信の一番高いものは「裁判官、検察官、弁護士」で次に「医師」だが、医師で世襲が多いのは、開業などする場合設備が既にある、患者を引き継げる、収入が高いなどあり世襲が行われる。一方弁護士などだと日弁連資料では6%だという。、これは司法試験が難しいのと収入が一部を除きさほど高くないからだという。

世襲の功罪では、まず農業や商店など継ぐべき基盤があれば無業者になるリスクが減るなどを挙げる。また時代に合わせ新機軸をうちたてやすいのは世襲者であるという。猿之助のスーパー歌舞伎のようなものは梨園出身であるからできることで、一方文楽は世襲ではなく、外部からの人が伝統を守るべく就業する集団であるので、そこで新しいことをやるのは難しいという。企業でも経営が危機に陥って、将来を見据えた改革を行うのに重役たちを説得できるのは、創業者の血をひく貴種で、そこに世襲のプラス面もあるとしている。ただし公的な議員とかの世襲は、新参者が議員になるのを狭めておりマイナス面の方が大きいとしている。

間に有名人の親子についてのコラムが5つあり、「親子二代の名選手はいるか?」で親を超えられなかったスポーツ親子、「息子が親を超えた」で親を超えたスポーツ選手、「学者の世界」などおもしろい例があり一息つける。
posted by simadasu.rose at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・上流下流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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