2015年12月29日

となりのセレブたち(篠田節子)

となりのセレブたち -
となりのセレブたち -  2015.9.20

小説新潮に掲載された5つの短編を集めたもの。
中でも「人格再編」は現在の長寿社会に強烈な皮肉の矢を放っている。
舞台は2040年あたりか。介護保険制度は成熟し在宅介護に移行し、核家族化は止まり親との同居があたりまえになっておりおまけに少子化対策も行き届き、「痴呆症」は差別語となり「緩穏傾向」に置き換えられ、しかし不自然な延命措置は医療保険の破綻から無くなり、食べられなくなった時が死にどき、となっている。・・これって理想じゃね? いやいやそうはいかないのだ。なおも生きている老体のメンタルな人格変化〜家族に悪態をつくばあさんに対応できない家族が訪れたのは、最新の脳外手術による正しい人格の創出手術。

しかし理想の人格となったやさしいお婆さんが理想の人格のまま死んだ時、家族は喪失感から立ち直れなくなってしまったのだ。「介護の負担さえなく死んでゆくから、家族は葬式を出したあとの解放感を味わうこともない」のだった。そして人格再編施術を編み出した医師に「立派な老親などいらない、老いと死の実相を見せつけ、若さや人生のはかなさを見せつけるのが老親の役目だった」と悟らせる。

発表は2008年。変化形が「長女たち」か。

posted by simadasu.rose at 01:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・篠田節子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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