2007年03月03日

夜のジンファンデル(篠田節子著)

夜のジンファンデル
夜のジンファンデル
 2006.8 集英社

篠田氏最新短編集。
最初の「永久保存」 よくまあ書いてくれます。参ります。OL時代に「永久保存」したい上司がいたのか?勤務しつつ回りをすごく観察していたんだなあと思います。しかし。。 うーん、小物から大物までこういう形で「永久保存」になってしまったらさぞ小気味いいでしょう。

次の「ポケットの中の晩餐」は故郷への郷愁がモチーフ。そのふるさとは氏がずっと住み続けている八王子なのかもしれない。最後がノートを破くようなさみしさで終わる。

「絆」はこれもさみしい。冷蔵庫が人格を得ているみたいといった思い込みと氏特有の現実と空想が入り混じる構成。

「恨み祓い師」は老朽貸家に住む年をとらない二人の老女の話。なにげない二人の老女に永遠の母と永遠の「母の娘」の恨みをもたせるのは篠田氏自身が一人っ子で自身の「母の娘」の感情を投影してるのかもなどと思ってしまう。ずっと年をとらないみたい、という周りの不思議感がだんだん高まってくる文の運びはさすが。

「夜のジンファンデル」これ一遍がごく普通の恋愛小説か。

最後の「コミュニティ」も、最初の「永久保存」に劣らず、いやはやこうもいくか、という老朽団地コミュニティの話。

どれもタモリが案内をやってた「世にも不思議な物語」なんかでやったらおもしろそうです。人生も少なからず過ごしてきてちょっと疲れ気味の人にいろいろ余韻のある短編です。
posted by simadasu.rose at 17:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・篠田節子 | 更新情報をチェックする
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