2013年02月11日

ブラックボックス(篠田節子)

ブラックボックス [単行本] / 篠田節子 (著); 朝日新聞出版 (刊) 2012.1.30

生野菜サラダを作る24時間体制の工場に勤める栄美と、その工場に提供する野菜を作っている剛と、土無しのコントロールされた食物生産を画策する企業を軸に、食と農業の未来を問う。

さる事件で会社をやめ田舎に戻りサラダ作成工場に勤める栄美。土無しでコントロールし無農薬に近い野菜を作るろうとする会社にとりこまれていく代々の農家の跡取りの剛。そこにサラダ工場に勤める外国人労働者、あくまで新鮮な野菜サラダを求めるコーヒーチェーン店と客、新しい農業生産組織を作った若者たち、離婚して学校の栄養士になった聖子、その学校で頻発するようにみえる児童のアレルギー、学校給食や病院の食事に進出するファミリーレストラン、など生野菜サラダを中心になにかおかしいのでは?といった事件、事柄が示される。ブラックボックスとは野菜を作る剛の建物である。

最近では当たり前のように買うパック入りサラダやカット野菜。今までそれがどのように作られているかなどあまり考えることなく便利な昼食として利用していた。がこのブラックボックスを読んだ後は買うのをやめようかという気になった。しかし毎日ではないにしろやはり買ってしまうんだろうなあ。

庭先の自家菜園があったとしても、それだけでは賄いきれない現代の食生活。食べる事とは、食べ物を作るとは、を改めて考えさせられる。

設定は海沿いのとある小さな町。40歳くらいに設定された主人公たち、生きるために懸命である。なにか「女たちのジハード」と「ロズウェルなんか知らない」を彷彿させる。

「毎日新聞 本と人」 (毎日新聞 2013年01月27日)によると、
「一番やりたかったのは、先端技術の中に人間の知恵の限界が潜んでいるのではないかということ。技術が暴走した時、まさかと思うようなささいな落とし穴があって問題が起きる。私たちは経験的に知っていることですが、なかなか取り上げられない」というのが篠田氏の書きたかったことのようです。管理され養分も計算しつくされた筈なのに、剛のブラックボックス内では停電、漏水など予期せぬことが起きる。計画するのも人間なら予防策を練るのも人間。農業に限らず、医学、車、原発などにも言えることだなあとこの氏のコメントを読み感じました。

作家の読書道 篠田節子インタビュー




posted by simadasu.rose at 02:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・篠田節子 | 更新情報をチェックする
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