2012年11月22日

家鳴り(篠田節子)

家鳴り (集英社文庫) [文庫] / 篠田 節子 (著); 集英社 (刊) 2012.9.25

日常生活が、ふとしたことからズレていく。ずれは思いもかけない方向に進み加速度を増す。気がつくとまったく違ってしまった自分と家族と日常になってしまっている。そんな静かな恐怖を描いた短編7作。

中でも「幻の穀物危機」が鋭い。幼い子と妻と3人、脱サラをして山梨のペンション村に引っ越して喫茶店を営む主人公。周りには穀物危機が来ると信じて疑わない同じ脱サラ組の農業者もいる。そんある日東京西部で大きな地震が起き続々と東京から難民がやってくる。生活機能がマヒし食糧が手に入らなくなったのだ。それは東京のみならず県都の甲府でも起きていた。そして田舎にいながら農地を持たない主人公も食べ物が底をつく。穀物危機は外因ではなく地震による内因でも起きたのだ。そして食べ物を求めて主人公がとった行動は・・・

初出は1999年と今から10数年前だが、3.11の放射能による原発からの人々の移動がまだなまなましい今、ものすごくリアルである。周りの状況で思ってもみない行動が日常になってしまう様に背筋に冷気が走る。

そのほか表題の「家鳴り」は、夫の望む行動をしてどうしようもなく太ってしまった妻。ギルバートグレイプのお母さんを思い起こす。

posted by simadasu.rose at 20:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・篠田節子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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