2011年09月16日

はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか(篠田節子)

はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか [単行本] / 篠田 節子 (著); 文藝春秋 (刊) 2011.7.10

「オール読物」に初出された短編4作。アマゾンの中身拝見で「深海のEEL」を読んで、もう続きを読みたくなって書店に走った・・ が発売日から2ヶ月経って、引き上げられたのか無かったのでamazonで注文。

今回の4作は少しSFの要素を持ったもの。

「深海のELL」はウナギの物語。駿河湾の底引き網から巨大ウナギが次々に網にかかる。ウナギは海で生まれ川に上り川で成魚になるので海底から成魚があがるのからして不思議なのに、目が異様に光り・・ しかしなんとか売りさばいた先でそれを食べた人は次々と異常をきたす。・・とくれば、何、何?となる。光るのはレアメタルで、それをめぐって回転寿司チェーンと、貴金属産出を狙う大企業が絡み、庶民の口にのぼるスシネタは実は・・

「豚と人骨」は、都会の一等地を遺産相続することになった3兄弟。親の敷地を更地にし、そこにマンションを建てようと地面を掘ったら、さあタイヘン。古代人の、しかも女性ばかりの人骨がたくさん出てきてしまったのだ。一体これは何だ? 
今まで顔も見せなかった妹弟が相続時に遺産分配のためにやってくる。長男の務めを果たし、親と妻に文句を言われながら、やっと親を看取った・・片付けた、とさりげなくこういう文章も入っているのは篠田さん自身一人っ子で親の重圧の実感があるからか。

「はぐれ猿は熱帯雨林の夢を見るか」は、メルヘンがらみの人工知能の話。

「エデン」これが一番よかった。寺の跡取りのハルユキは修行に入る直前の休暇を楽しんでいたが、訳も分からず追われる身となり、クラブで知り合ったブレンダの手引きで逃げ延びた・・ようなのだが、連れて行かれたのはさる極寒の地。そこでは63年の工期で地下にトンネルを掘る工事をしていた。ちょうど工期は30年くらいが終わったところだった。村人はテレビも見ず娯楽の本も読まず、唄うのは賛美歌、夕食を食べれば8時には皆眠りに付く。そして朝からトンネルを掘る。地面が凍る真冬の2週間が唯一外界とつながる期間。その他は泥湿地で陸の孤島となる地。
食って寝て働いて子供を作って・・ エデン・理想の郷とは何か? 63年後の「あっちの世界」はどうだったのか。地下トンネルの向こうから深く問いかけられる。
posted by simadasu.rose at 13:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・篠田節子 | 更新情報をチェックする
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