2010年11月28日

善き人のためのソナタ(DVD)

善き人のためのソナタ スタンダード・エディション [DVD] / ウルリッヒ・ミューエ, セバスチャン・コッホ, マルティナ・ゲデック, ウルリッヒ・トゥクール, トーマス・ティーメ (出演); フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク (脚本); ガブリエル・ヤレド (その他); フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク (監督)

1984年東ベルリン。東ドイツの諜報機関シュタージの職員ヴィースラーはある劇作家の盗聴をするうち次第に気持ちの変化が起きてくる。盗聴ヘッドフォンから聴こえてくるのは西側寄りの言動で活動を封印された演出家からその劇作家に送られた「善き人のためのソナタ」だった。。 

作られたのが2006年。制作ドイツ。作ったのはかつてどっちのドイツに属していた人なのか。共産圏の諜報活動がこれほどとは。いやCIAとか諜報はどちらにもあるか。

画面からは息苦しいまでの思想的逼塞感が伝わってくる。が、東側は思想的統制がすごいらしい、という情報をあらかじめ我々は知っている、でもそれは「東側の事情」として西側が作ったニュース映像から伝えられた情報だ。本当のところの市民生活がどういうものだったかは実際生活してみないと分からない部分はあるだろう。TVにしろ新聞にしろ”記者”の主観が絶対入る。これは取材される側に立ち、出来上がった記事を見て、ウソーっとなるのを経験するとよく分かる。

これを作ったのが西ドイツ側から見た、東ドイツの実態を作品化したものなのか、旧東ドイツの人だった人が自分の経験に基づき作ったものかによって随分違ってくるんじゃないかと思うのだ。旧東の人が見たらどう思うのか、西側の傲慢とも映るんじゃないかとふと感じた。

調べてみると、原作は無いようだ。監督・脚本のドナースマルクは2006当時33歳だという。壁崩壊時は16歳。HPによれば母親が東ドイツ出身で国境を越える時両親は本当に怯えていた、と語っている。子供ながらに感じた大人の怯える姿の記憶と、徹底した取材で作られたものらしい。父がルフトハンザ航空に勤めていたというから西側の人だ。

しかし主人公ヴィーラー、DVDの表紙がとても印象的で、あれはがらんとした屋根裏部屋で24時間、2交代でたった一人で隠し撮りの音と映像を聞いている姿なのだ。音はヘッドフォンから聴こえる見張り中の劇作家の部屋の音だけである。そこには恋人とのベッドの上での音から、体制を打破しようと仲間と密談する声、そして劇作家が弾く「善き人のためのソナタ」のピアノである。演じてるのは東ドイツ出身のウルリッヒ・ミューエ。自身も監視されていた経験を持つというから、演じていても複雑な心境だったのでは。

しかし設定が84年でよかった。20年間地下で封筒空けだ、と左遷される生活も5年で終わった。
前にみた「グッバイレーニン」も壁の崩壊を扱ったもので、コミカルな笑いがある作品だが、このソナタは静かななんともいえぬ余韻が残る作品だ。

善き人のためのソナタ公式サイト

監督:フロリアン・ドナースマルク 1973ケルン生 NY、ベルリン、フランクフルト、ブリュッセルで育つ。
音楽:ガブリエル・ヤレド 「善き人のためのソナタ」はこの映画のためのオリジナル

善き人のためのソナタ [Soundtrack] / ガブリエル・ヤレド (作曲) (CD - ... 

実際のドイツはどんな風なのか?
ベルリンの壁崩壊20周年 水島秋穂・早稲田大学教授のページ シュタージに触れたページ
ヨーロッパ文化部ノートというblogに シュピーゲル誌の2009.7.9の記事が紹介されてます。半数以上の旧東ドイツの人は昔がよかった、と答えているアンケートだそうです。
東ドイツ関係の本 東ドイツがどんな風だったのか。秘密警察やスパイ関係の本もある。
ドイツ統一関係の本 サラリとは読めないかも

posted by simadasu.rose at 18:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | 更新情報をチェックする
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