2010年04月16日

スターバトマーテル


スターバト・マーテル

スターバト・マーテル

  • 作者: 篠田 節子
  • 出版社/ 光文社
  • 発売日: 2010/02/19




主人公は42,3の設定か。お互い家庭を持った中学の同級生。スイミングクラブで偶然出会う。水着姿のまま姿を認めると、かすかな中学時代の意識が蘇る。好きとまではいかない、なにかひっかかる存在、そんな感情。中学では意識の底に沈んでいた感情が、30年近くを経て互いの人生のなかにからまっていく。

男も女もそれぞれの家庭で、会社でうまくいっていたわけではなかった。いや過去にはそれぞれのパートナーと、子供と楽しい時期もあった。しかしプールで出合ったその時は違った。それぞれ決着をつける状況だった。

スターバトマーテルとはカトリック教会の聖歌で、わが子キリストが磔となった際の聖母マリアの悲しみを歌った歌。二人の抱えているそれぞれの歩んできた人生への悲しみの聖歌と言えるかも知れない。

中学時代の無意識の感情が、時を経て顕在化する、というのでは村上春樹の「IQ84」の青豆を思い浮かべた。再開した男女の結末では、映画「愛の嵐」を思い浮かべてしまった。愛の嵐はちょっとヘヴィーですが。

「こんなことになるんじゃないかと思っていた」という男の言葉がすべてを言い尽くしている。

人の人生を読む、これもありか、小説の醍醐味を味わえる中篇です。

posted by simadasu.rose at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・篠田節子 | 更新情報をチェックする
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