2008年08月14日

死都(篠田節子著)

Xωρα(ホーラ)―死都
Xωρα(ホーラ)―死都 2008.4.11

篠田節子の新作を久しぶりに行った図書館でみつけた。これが出たのも知らなかった。

主人公は女性バイオリニスト。最初の場面はヨーロッパのとあるホテルでの夢の場面。傍らに眠る男性は夫ではないのがほどなく分かる。

二人とも”完璧に”家族の目を逃れて逢瀬を20年近く続けてきたとある。しかし出だしから今回の初めての二人の旅行で何か起こると感じさせる書き出し。案の定、予定を変更して訪れた辺境のエーゲ海の島で襲われる中世の都市の幻影と、プレゼントされたバイオリンにまるわる”呪い”が、お決まりといっては何だが彼女の小説によく出てくるモチーフとなって展開する。この現実と幻想が彼女の小節の一番の醍醐味でもある。それが今回は”密会”(彼女の場合、不倫、という感じはしないんですよね、どろどろしてないので)ということでふんわりやさしい感じの作品だ。

最後はぎりぎり家族に知られないで終わる、という結末。しかし男性は死ぬ。がこれはけっこう最初から暗示されている。登場人物それぞれに彼女自身と近辺の人をだぶらせてるのかなあ、などと思ってしまう。

彼女が最初に見た夢は、年老いた老母におしつぶされるもの。これも一人っ子の篠田氏とだぶるのではないか。また主人公のバイオリニストと音楽批評家の夫、って彼女たち夫婦か? とか。また逢瀬を重ねた男性が最後に発したのは妻の名だったが、これは篠田氏が妻の側に立った心境での言葉か、とか。

映画の小品でもけっこう見られるかなあ、などと思いつつ写真でしか知らないエーゲ海とか、幻の都とかを頭に浮かべながら読んだ。
posted by simadasu.rose at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・篠田節子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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