2017年12月17日

エルELLE(映画)

78歳のバーホーベン監督と、64歳のイザベル・ユペールが主演。この年齢に脱帽。

バーホーベン監督と言えば「氷の微笑」。 「氷の微笑」と言えば、下着をつけないまま取り調べの警官の前で足を組みかえる場面が一番印象にあるが、この同じテイストをこの「ELLE]にも感じた。う~んバーホーベン監督の女性観はこうなのか。78歳にしてこういう画面を撮るとは、原作本があるとはいえ、これから向かう年齢はやはり年取ってみないと実感できないなあ。

主人公はゲーム会社の女社長。関係する男性は、離婚した夫、同僚の夫、そして向かいの隣人。イザベル・ユペールほ実年齢は64歳だが関係の仕方から言って設定はせいぜい55歳あたりでないと・・・

ELLEとはフランス語で彼女という意味だそうで、すたすたと1人で歩く後ろ姿の彼女、といった映像に合ってる。
12.14劇場で

ELLE映画HP

エル ELLE (ハヤカワ文庫NV) -
エル ELLE (ハヤカワ文庫NV) -  原作フィリップ・ジャン。あのベティ・ブルー 愛と激情の日々-  の原作者でもあるということだ。

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2017年12月09日

夜想曲集(カズオイシグロ)

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫) -
夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫) -  2011.2.15

副題のとおり、音楽と夕暮れがモチーフとなる5つの短編集。ぼく、として語られる主人公は音楽家だったり、音楽好きだったり。そして主人公に関係するカップルが登場するがどれも関係が危うくなっている。話の進行には音楽が介在し、物語は進む。5つの短編それぞれが一つの曲が流れるように、一つの曲を聴き終わるように、そんな読後感だ。

「老歌手」はベネチアでバンドを掛け持ちするギター弾きが、ある老歌手が妻のためにホテルの窓下の水路で歌う伴奏をする。なぜそういうシチュエーションが起きたのかがミソ。

「降っても晴れても」は、雲行きが怪しくなった、ロンドンに住む大学時代のクラスメイト夫婦の家に訪問した47歳の主人公の話。その妻と主人公とは音楽の好みで共通点があったが・・・

「モールバンヒルズ」は、ひと夏、姉夫婦の営むイギリスのモールバンヒルのカフェで働くギターで身を立てようとする若い男性が、客として訪れた音楽家夫婦に自分の作った曲を聴いてもらうと・・。

「夜想曲」。これはなにかとんでもなく突飛な設定。売れないサックス吹きが、「整形をしたら売れるんじゃない?」というマネージャーの言に従い手術をしたが、その術後の部屋の隣に有名な女性スターがいて・・

「チェリスト」。これもなんとも不思議な話。イタリアのアドリア海に面した町で、若いチェリストがやってきて町のバンドに在籍するが、天才チェリストと名乗る女性と出会い、自身の演奏を指導してもらうが、女性は決して自分では演奏して見せない。実は・・

カズオイシグロ氏のネット上のメモ
ノーベル文学賞イシグロさん記念講演 原点は想像の日本 毎日新聞12/8

カズオイシグロさん受賞式を前に会見 朝日デジタル12/7

カズオ・イシグロの素顔 東洋経済2017.10.6

親族が語る一雄君のこと 週刊現代2017.10.24

綾瀬はるか、カズオイシグロに会いに行く 文芸春秋2016.2月号 (わたしを離さないでドラマ化に際し)

カズオイシグロインタビュー The Paris Review(アメリカの季刊誌)2008.春 をバルカローレさんが訳したもの 

日本への想い、村上春樹のこと 文学界2006年8月号 聞き手・大野和基 ※大野氏のインタビュー集書籍「知の最先端」 (PHP新書) -  にも所収。

カズオイシグロに阿川佐和子が聞いた 文春オンライン 週刊文春2001.11.8号

カズオ・イシグロ 文学白熱教室 [DVD] -
カズオ・イシグロ 文学白熱教室 [DVD] -  2015.7.15放送の文学白熱教室がDVD化 2018.2.9発売予定

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2017年12月08日

オリエント急行殺人事件(映画)

オリエント急行内で1人の乗客が殺され、体には12の刺し傷。犯人は1等車の乗客の中にいる、また原作は1932年のリンドバーグの息子の誘拐殺人事件に着想を得て発表された、という情報のみで見た。

最初にイスタンブールの町や駅の民族衣装に彩られた人ごみ、そして雪のアルプス?を孤独に進む列車が上空から写される。これはもうすごい映像的な迫力。そしてクセのある乗客。中でも殺される富豪役のジョニー・ディップは顔に傷のあとも作りいかにもワルモノといった風貌。ポワロはTVで見ていた小太りのデビット・スーシェがン馴染みがあり、この映画のケネス・ブラナーはかっこよすぎではないかと見る前に映画のチラシを見て思ったが、映画が始まるとすんなりケネス・ブラナーのポワロにはまった。かっこいいポワロも有りだ。

誘拐事件と乗客との関係がだんだん明らかになって、雪の鉄橋での立ち往生の場面で謎が解き明かされるが、この鉄橋の場面も映像の迫力があった。謎ときが話される2分くらい前に、犯人はこうか?と思ったら、果たしてそうだった。

オリエンント急行の車体と、雪の中を進む列車と、クセのある乗客を演じる俳優を大画面で見る楽しさを味わった。
12.8劇場で

 →オリエント急行殺人事件 映画HP

1974年にも制作されていて、それにはイングリット・バーグマンが出て助演女優賞も得ている、というのでそちらもレンタルして見てみた。犯人を知ってから見ることになるが、こうなるとちょっとした顔の表情とか、伏線とかが分かり、犯人は誰か?というどきどき感とは別な愉しみを味わえた。
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] -
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] -  イングリット・バーグマンは最初、老伯爵夫人役を打診されたそうだが、家庭教師役をやりたい、とそちらを演じて助演女優賞を得た。家庭教師はすごく地味な風貌の設定で、あまり登場場面も多くない。こちらで際立ったのは夫を2度とりかえている婦人役のローレン・バコールだ。バコールの方が派手な役だったので、こちらのほうがすごく印象に残った。

オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) -
オリエント急行の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) -  原作は1934年発表。


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2017年12月02日

ブレードランナー2049

地球に明るい未来ってないの?

今作を見る前に、朧な記憶になってしまった前作の「ブレードランナー」をレンタルして予習。”SF映画の金字塔”などと言う文字が躍るが、あまり実感できいないまま、新作を見た。さらに荒廃の進んだ2049年、ああこの年には自分は死んでるかも、なんて思いながら見るが、緑の無い白茶けた地球、ロサンゼルス。ソニーの文字、怪しげな東洋趣味の店はまた出てくる。街に光はなく暗い。生野菜や動物も本当に希少なものとなっているらしい。

”金字塔”と評価するのは、人間の存在の本質?を問う?などということらしいが、情緒安定用の記憶、とかここらへん? だが画面からの直截的な印象は、「ターゲットを殺す」という画面が暗く展開する、という表面しか感じ取れず・・・ きっとこちらの受け皿が貧弱なせい? SFは好きなんだけどなあ。この映画を見た数日後、夕暮れの京浜工業地帯をバスで通過した。薄暗くてよく見えない工場群の巨大な影が2049年のブレードランナーの世界に似てるな、なんて思い、あの荒廃した街は現実となりかねないのかも、なんて思ってしまった。日本を支える工場群たち、ごめんなさい。
12.2劇場で
ブレードランナー2049公式HP

ブレードランナー ファイナル・カット [Blu-ray] -
ブレードランナー ファイナル・カット [Blu-ray] -  前作は1982年作。2020年が舞台。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) -
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) -  1968作。原作を読めばまた違うか


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2017年12月01日

図書館に通う(宮田昇著)

図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情 -
図書館に通う―― 当世「公立無料貸本屋」事情 -  2013.5発行

現在、図書館で小説を借りて楽しい読書生活をしている著者が図書館について語る

著者は1928年生まれ、出版時85歳。編集や海外著作権実務、フリーの物書きなどをしてきたが引退した今は近くの図書館から主に小説を借りて読み、純粋に「本を読む」楽しみに目覚め、充実した老後を送っている。

著者の図書館とのかかわりは、学生時代は教養としての利用、職業人生では資料集めとしての利用、そして引退した今は、日常的に図書館から本を借りて読む、という近頃やり玉にあがる「無料貸本屋」として大いに図書館を利用している。

著者は東野圭吾や池井戸潤を予約して読み、書棚をみて次から次と読みたい作家が出てきて老後の生活が活気づいている様子。無料貸本屋、図書館の存在が出版業界を脅かす、といった考えに対しては、複本を揃え予約が多くある、という”図書館の利便性は多くの人を読書に向かわせたのではないか” ”図書館は十分、読書の普及、著作のパブリシティの点で出版社、著作者の利益にかなっていると思う。その点を出版社も著作者も、見忘れてはならない”と書いている。

最後に図書館法「第二条 この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保管して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設・・」を載せ、どのように本を利用するとしても、”ひとくくりに読書とよんでよいのではないだろうか”としている。現役時代のように何か仕事に役立てるというのではなく、娯楽として図書館でタダ読みしていることを恥じない、としている。江戸期から庶民に絵草紙などの読書文化があり、明治以降の日本の近代化があり、図書館は「無料貸本屋」であっても、必要な知のインフラである、としている。

さらに今の図書館に必要なのは利用者と図書館との対話、読書情報の提供で、それが読書の幅を広げ深化させる。一方出版社は出版情報をきめ細かく図書館に提供し、それが相互作用となり出版、読書、が活気づくとしている。

※今年の全国図書館大会での文芸春秋松井社長の発言は刺激的でしたが、真意は図書館、出版社、まだまだお互いを知らない。共存共栄の道はあるはず、ということらしい。
文藝春秋・松井社長「フリーの風潮に流されず、図書館の役割考え直して」 文庫本の貸出中止をお願いする真意・弁護士ドットコムインタビュー 
  →2017.10.13全国図書館大会21分科会「出版と図書館」 
  →分科会テーマ:公共図書館の役割と蔵書、出版文化維持のために 内容
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2017年11月16日

女興行師吉本せい、花のれん

朝ドラ「わろてんか」10月も末になり、主人公てんが藤吉とともに藤吉の実家大阪に行き、姑や小姑が出てきたあたりからぐんとおもしろくなった。姑・鈴木京香が出るとなんとも場が盛り上がる。11月も半ばになるとなにやら少し物分かりの良い姑になっていてなーんだというのと、少しほっとした気分も。かの吉本興業の創業物語とあってほんとのとこはどうなのかと関連本を読んでみた。
ドラマは事実を参考に、エッセンスを取り入れ主人公てんの生き生きとした物語としたようだ。

女興行師吉本せい―浪花演芸史譚 -
女興行師吉本せい―浪花演芸史譚 -  矢野誠一著1987.9初版 中央公論社 

新版 女興行師 吉本せい: 浪花演藝史譚 (ちくま文庫) -
新版 女興行師 吉本せい: 浪花演藝史譚 (ちくま文庫) -  2017.9.6に新版で文庫が出ている。

まずは矢野誠一著の「女興行師 吉本せい~浪速演藝史譚~」。著者の矢野氏は1935生まれ、演芸評論などを書いている。せいの一生を細かくというより、寄席の大きくなっていく過程と大阪の演芸界の興隆をからめて書いている。

ドラマでは「てん」は京都の薬問屋のお嬢さん、その夫は大阪の米問屋の長男、となっているが、せいの実家は明石から大阪に移り住んだせいの父が米問屋を営み、せいはその12人兄妹姉妹の三女、夫となる吉本家は同じ大阪で荒物問屋を営んでいた。せいは女6人男2人を生むが長男は幼くして亡くなり、二男も24歳で病死してしまう。夫とは17年の結婚生活で34歳で未亡人となっている。

せいは、明治22年12月5日生まれ、明治42年、第二文芸館創業、大正2年吉本興業部設立、大正13年夫死亡、昭和13年吉本興業株式会社、昭和23年株式上場、昭和25年3月14日62歳で没。

矢野氏は、成功した吉本せいは、夫が遊び人であったので自分が苦労して寄席を大きくした、と自ら語っており、夫は結婚後17年で亡くなってしまうので、本当の夫がどうだったかは「死人に口なし」でわからない、と書いている。矢野氏は吉本せいよりは、どうも夫の肩を持ちたかったようである。夫吉兵衛は寄席を始めて死ぬまでの12年間で大阪、名古屋、東京と寄席の数を28軒に増やし、この多角経営のセンスは夫のもので、せいは当初はとにかく夫の遺した寄席を失うことがあってはならない、ことだったとしている。

花のれん (新潮文庫) -
花のれん (新潮文庫) -  山崎豊子著
こちらは吉本せいをモデルにした山崎豊子の小説。1958年・昭和33年上半期の直木賞受賞作品だ。
「女興行師 吉本せい」を読んだあと読んだので、ここは脚色部分だななどと思いながら読んだ。矢野氏は、吉本せいは家庭的には恵まれず、それが寄席経営を大きくする原動力になった、との解釈だが、「花のれん」では夫亡き後、仕事にそれはそれは精力的に突き進む主人公、という設定だ。仕事にまい進するあまり、息子との時間がとれず、長じて息子とあまり意思疎通できないという寂しさも描いている。この小説では夫は囲い者の女と同衾中に死亡したという設定だ。発表後すぐ舞台化され、菊田一夫演出、三益愛子主演。映画化は昭和34年、淡島千景主演。テレビドラマにもなっており、何度も映像化されていたんだ。
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2017年11月13日

シン・ゴジラ(TVで)

シン・ゴジラ DVD2枚組 -
シン・ゴジラ DVD2枚組 -  2016.7.29公開

~想定外への痛烈な皮肉

最初、またゴジラかよ、という思いで見ていたが、官邸での会議が始まると俄然面白くなった。ゴジラに関しては脱皮前の茶色のヘンなのが少し気持ち悪かったが、脱皮後の黒い皮膚から赤い内部が透けて見えだして、ああ、ゴジラだとへんに納得した。

これはゴジラ出現という、前例のない、想定外の、事件に対する日本の政治の混乱ぶりを痛烈に皮肉ったものだろう。おなじみの俳優たちが、首相だったり、大臣だったり、アレっ岡っ引き稼業はどうしたの?とか見ながら同時に思ってしまった。

プロジェクトチームの作業服が各省バラバラだったり、御用学者の調べてみないと分かりません、にはそんな悠長な、と思ってしまい、ほんとに笑ってしまった。

ゴジラは先の3.11地震の混乱ぶりに重なる。しかし今度は放射能で避難するのは首都圏の大人口だ。首都圏でも避難はあり得るんだよ、またゴジラの対処が国連軍の判断に委ねられてしまうあたり、シリアとかの多国籍軍の攻撃とかの、「受ける身になるとこうだ」というのを示している。

最後は放射能が無害化される、というほっとする解決でつかの間の平安が訪れるが、最後の最後のアップ画面は孵化した?小さな怪獣が無数に映った。う~んこれは・・・

1954の最初のゴジラもみてみたくなった。
posted by simadasu.rose at 11:50| Comment(2) | 映画 | 更新情報をチェックする
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